※本記事にはプロモーション(紹介パートナー契約に基づくサービス紹介)が含まれます。
「うちの労務費はいくらですか」と聞くと、ほとんどの社長は給与台帳の合計を答えます。それは会社全体の人件費であって、A現場の労務費ではありません。事務代行で工事会社の経理をお預かりしていると、材料費と外注費は工事ごとに分かれているのに、自社の職人の労務費だけがどの現場にも乗っていない台帳を何度も見ます。この記事では、労務費が総額でしか見えていない会社で起きていること、現場別に出す計算の基本、日報から自動で積み上げる仕組み、社内単価の決め方を整理します。

労務費が「給料の総額」でしか見えていない会社で起きていること
建設業の原価は材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けます。労務費は、自社で雇っている職人や作業員が工事に従事した分の賃金です。材料費は納品書、外注費は協力会社の請求書に現場名があるので工事に振り分けられます。ところが労務費の元データは給与計算で、給与明細には現場名がありません。ここに構造的な穴があります。
給与台帳はあるが、現場別の内訳がない
月給制の職人が5人いる会社で、今月の給与総額が分かっていても、そのうちA現場に何日、B現場に何日入ったかは給与台帳のどこにも書いてありません。社長の頭には「Aは先月ずっと3人で入っていた」という感覚がありますが、感覚は台帳に転記できません。結果として、工事台帳の労務費の欄が空欄か、見込み額のまま完工を迎えます。
労務費を原価に入れずに粗利を計算している
現場別の労務費が分からないと、粗利は「請負金額から材料費と外注費を引いた額」で計算されます。自社の職人が10日入った現場でも、その人件費はどの現場の原価にもならず、会社全体の固定費のように扱われます。この計算では自社施工の比率が高い現場ほど粗利が良く見え、「外注は儲からないから自社でやろう」という判断に向かいます。実際は逆で、自社の職人を多く投入した現場ほど労務費がかかっているはずです。
決算では合っているのに、現場では見えない
決算書の完成工事原価には労務費の合計が載ります。年に1回、税理士が給与台帳から振り分けるからです。会社全体の労務費は決算で正しく出ているのに、工事中の現場では見えていない、という状態です。終わった現場の採算を決算で知るのと、工事中に「人工が予算を超えている」と気づくのでは、打てる手がまったく違います。予算と実績を比べる土台は別記事「実行予算の作り方」で書いていますが、労務費の空欄はその中でいちばん大きな抜けです。

労務費の計算の基本。人工×単価で現場に乗せる
計算そのものは単純です。難しいのは、計算に使う人工(にんく)を現場ごとに毎日拾うことと、単価の決め方です。まず計算の基本を押さえます。
計算式は「人工×1人工あたりの単価」
1人が1日働いた量を1人工と数えます。ある現場の労務費は、その現場に入った自社職人の人工の合計に、1人工あたりの社内単価をかけた額です。職人3人が10日入れば30人工、そこに単価をかければその現場の労務費になります。月末に給与台帳から按分するのではなく、日報の人工から積み上げるのが基本です。給与からの逆算は、月をまたぐ工事や複数現場を行き来する職人がいると必ず崩れます。
社員の人工は労務費、協力会社の人工は外注費
自社で雇用している職人・作業員の人工は労務費です。協力会社や一人親方に常用(人工出し)で来てもらった分は、人工で数えますが原価の分類は外注費になります。出面表には同じように並びますが、台帳に乗せるときの行き先が違います。両方を労務費にまとめると、決算書の完成工事原価報告書の分類とずれ、自社職人の生産性と外注の採算を分けて見られなくなります。日報の段階で「自社」「協力会社名」を区別して記録しておけば、集計で分けるのは簡単です。
半日・残業・夜勤の換算ルールを先に決める
午前だけ入った、午後から別の現場に移った、夜間作業だった。こうした日を「1人工」で丸めると、現場別の労務費がずれます。会社ごとに換算ルールを決め、日報に書く側がそのルールで入力するようにします。換算の例を表にしますが、数値は自社の就業規則と給与の計算方法に合わせてください。
| 勤務の形 | 人工の換算例 | 日報に書くこと |
|---|---|---|
| 通常の1日 | 1.0人工 | 現場名、人名、1.0 |
| 午前のみ・午後のみ | 0.5人工 | 午前A現場0.5、午後B現場0.5と分けて書く |
| 残業(2時間程度) | 1.25人工 | 残業時間を別欄に記録し、換算は集計側で行う |
| 夜勤 | 1.25〜1.5人工 | 夜勤であることを明記。深夜割増の扱いは給与規定に合わせる |
| 社長・役員の作業 | 職人と同じ単価で人工に数える | 役員報酬は販管費だが、採算を見るときは労務費相当として入れる |
段取り・移動・雨天待機はどの現場に乗せるか
倉庫での積み込み、現場間の移動、雨で現場に入れなかった日。こうした時間は放っておくと「どこにも乗らない労務費」になります。ルールは2つのどちらかです。その日に向かう予定だった現場に乗せるか、「共通」という区分を作って月末に現場の人工比で按分するか。決めないまま日報を集めると、月末に誰かが判断することになり、月によって扱いが変わります。

日報から労務費を自動で積み上げる仕組み
月末にまとめて人工を思い出す方式では続きません。労務費を現場ごとに把握している会社は、例外なく「日報の1行が労務費の1行になる」仕組みを持っています。
日報に必要なのは4項目だけ
労務費の集計に必要な日報の項目は、日付、現場(工事番号)、人(自社職人の名前、または協力会社名)、人工の4つです。作業内容や天候、写真は現場管理には必要ですが、労務費の計算には使いません。逆に、この4つのうち1つでも欠けた日報は労務費に変換できません。特に現場名が「〇〇様邸」「〇〇邸外構」とばらばらだと、集計のときに人が直すことになるので、現場名は一覧から選ぶ形にしておくのが確実です。日報を紙やExcelから移すときの選び方は、別記事「作業日報アプリの選び方」で整理しています。
紙、Excel、アプリの3段階で何が変わるか
紙の日報は、事務所で誰かがExcelに転記した時点で初めて集計できます。転記する人がいない月は集計されません。Excelの日報は、職長が事務所に戻ってから数日分をまとめて書くことになり、半日や現場の移動が丸められます。アプリの日報は、現場でその日のうちにスマホから入力され、その時点で現場別・人別の人工が積み上がります。労務費の精度は、入力する場所と時間が現場に近いほど上がります。道具の良し悪しではなく、記憶の鮮度の問題です。
週1回、実行予算の労務費と並べて見る
日報から人工が積み上がるようになったら、見る習慣を作ります。実行予算の労務費を「何人工×単価」で組んであれば、毎週の累計人工と比べるだけで予算の何割を使ったかが分かります。工程が5割で人工が7割使われていれば、その現場は労務費が超過する方向にあります。月1回では手遅れになることが多いので、週1回、社長が自分の端末で現場ごとの人工を見る時間を決めてしまうのが現実的です。
社内単価の決め方。給料の総額から1人工の値段を出す
人工が拾えるようになると、次に「1人工にいくらをかけるか」で止まる会社が多いです。ここは正解がひとつではありませんが、考え方は決まっています。
基本は年間の人件費を年間の稼働人工で割る
もっとも素直な方法は、職人1人あたりの年間人件費を、その人の年間の稼働日数(人工)で割ることです。年間人件費には、基本給と諸手当だけでなく、賞与と会社負担の法定福利費(社会保険料・労働保険料)を含めます。額面だけで単価を作ると、会社が実際に払っている額より低くなり、労務費を過小に見ることになります。小規模な会社では、職長クラスと一般の2段階か、全員同じ単価にして年1回見直す形で十分です。
稼働していない日の人件費をどう扱うか
月給制の職人は、現場に出なかった日にも給料が発生します。この分を単価に乗せる(稼働日数で割れば自然に乗る)か、販管費として会社全体で持つかで、現場別の粗利の見え方が変わります。採算判断に使うなら、単価に含める方が実態に近くなります。年間の人件費が全額どこかの現場に乗っていれば、現場ごとの粗利の合計が会社の利益と一致するからです。
公共工事設計労務単価は参考にはなるが社内単価ではない
「国の労務単価を使えばいいのでは」と聞かれることがあります。公共工事設計労務単価は、国土交通省と農林水産省が公共事業労務費調査にもとづいて都道府県別・職種別に設定する、公共工事の工事費を積算するための単価で、令和8年3月から新しい単価が適用されています。国土交通省は、この単価には事業主が負担すべき必要経費分は含まれず、下請代金に必要経費分を計上しない、または値引くことは不当行為だと明記しています。発注者が積算に使う数字であって、自社の職人1人にいくらかかっているかを表す数字ではありません。常用単価の交渉の参考にはなりますが、社内単価は自社の人件費から出すのが筋です。

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サクミルなら日報の人工が出面に自動で集まる
「日報の1行が労務費の1行になる」仕組みを小規模な工事会社が持てるサービスとして、マッセが紹介パートナーとして取り扱っているのが「サクミル」です。以下はすべて2026年10月時点の公式サイトと公式資料の記載にもとづいています。
作業日報から出面、原価までが1つの案件に紐づく
サクミルは、株式会社プレックス(東京都中央区)が運営する建設業向けのクラウド型現場管理・工事管理システムです。作業日報は職長が現場でスマホから入力でき、多くの項目はプルダウンで選ぶだけなので、現場名の書き方がばらつきません。入力された人工は出面表へ自動で集計され、出面管理では協力会社ごとの人工・稼働日数も自動で集計されます。実行予算・原価管理では案件ごとに資材費・労務費・外注費・経費を項目別に管理でき、工事台帳には案件ごとの売上・原価・利益がリアルタイムで並びます。日報で拾った人工を労務費として案件の原価に反映させる流れが、別のソフトに転記せず1つのシステムのなかで回る形です。
料金と無料トライアル
| 月額基本料 | 9,800円〜(税別)、20アカウントまで |
|---|---|
| 協力会社の登録 | アカウント数に含まれない |
| 初期費用 | 0円 |
| 無料トライアル | 2ヶ月(期間終了後の自動課金なし) |
| マッセ経由の特典 | トライアル中に正式利用を申し込むと無料期間が1ヶ月延長、実質3ヶ月無料 |
| サポート | 専任サポート担当による導入支援(初回セットアップはオンライン約30分・無料) |
職人全員にアカウントを渡して日報を入れてもらっても、20アカウントまでは月額が変わりません。協力会社の登録はアカウント数に含まれないので、常用で来てもらう会社が増えても料金には影響しません。導入社数は3,000社以上、月間の新規導入は200社以上と公表されています。機能の詳細と無料トライアルの申込手順はサクミルの紹介ページにまとめています。
単価を決めて数字を使う事務は残る。マッセとの併用
ここは紹介パートナーとしてではなく、事務代行の立場で書きます。日報から人工が自動で集まるようになっても、労務費にまつわる事務はゼロになりません。社内単価を決めて設定する、月末に出面と協力会社の請求書を照合する、給与計算をする、労務費と外注費を会計ソフトに登録する、職人のグリーンサイトやCCUSの手続きをする。これらは誰かがやる必要があり、その「誰か」がいないまま導入して数か月で止まる会社があります。
マッセが代行している事務
マッセは建設業に特化した事務代行で、グリーンサイトや各元請の安全書類(グリーンファイル)の作成・提出、CCUS(建設キャリアアップシステム)の事業者登録・技能者登録・現場登録、請求書の発行や経理の入力といった事務を、LINEでのやり取りで代行しています。労務費に関わるところでは、出面と協力会社の請求書の照合、支払一覧の作成、工事別の労務費・外注費を会計ソフトへ登録する作業を引き受けることが多いです。料金やプランの詳細はマッセのサービス案内をご覧ください。
併用するときの役割分担
職長は、現場でその日の日報に現場・人員・人工を入れる。社長は、社内単価を決め、週1回、現場別の人工と労務費が実行予算に収まっているかを自分の端末で見る。請求書の照合、支払と給与の計算、会計ソフトへの登録、安全書類やCCUSの手続きはマッセが引き受ける。アプリは現場の情報を集める道具、マッセは集まった情報を事務として処理する人、という分け方です。社内に事務担当を雇わなくても、現場ごとの労務費が毎週見えている状態を保てます。

よくある質問
Q. 日給月給の職人と月給の職人が混ざっています。単価はどう分けますか?
日給月給の職人は日給に法定福利費の会社負担分を上乗せした額、月給の職人は年間人件費を年間稼働日数で割った額、と出し方を分けて構いません。大事なのは、どちらも会社が実際に払っている額から出すことと、年度の途中で変えないことです。途中で変えると現場ごとの比較ができなくなります。
Q. 職人が複数の現場を1日で回ります。人工はどう記録しますか?
現場ごとに行を分けて、午前A現場0.5、午後B現場0.5のように記録します。1日の合計が1.0になればよく、3現場なら0.4・0.3・0.3でも構いません。この分割を職長がその場で入れられるかどうかが、日報をアプリに移す理由のひとつです。月末に思い出して分けるのは現実的ではありません。
Q. 労務費を現場に乗せると粗利が下がって見えます。それでいいのですか?
それが本当の粗利です。これまでの粗利は自社の職人の人件費を引いていない数字でした。下がって見えるのは悪化したからではなく、正しく見えるようになっただけです。見積の段階で労務費を人工×単価で積んでいれば、受注時点の粗利も現実の数字になります。
Q. 社長自身が現場に入る日はどう扱いますか?
役員報酬は会計上は販管費ですが、現場の採算を見るときは、社長が作業した日数に職人と同じ単価をかけて労務費相当として入れてください。入れないと、社長が多く入った現場ほど粗利が良く見える錯覚が生まれます。
サクミルの無料トライアル(マッセ経由で正式利用を申し込むと無料期間が1ヶ月延長され、実質3ヶ月無料)の申込相談は、サクミルの紹介ページから受け付けています。「社内単価をどう決めるか」「今の日報の形からどう移すか」といった導入前の疑問にも、事務代行の立場からお答えします。
まとめ:労務費は給料の総額ではなく、現場ごとの人工×単価で見る
労務費が給料の総額でしか見えていない会社では、自社の職人を多く入れた現場ほど粗利が良く見え、判断がずれていきます。現場別の労務費は、日報の人工に社内単価をかけるだけで出ます。難しいのは計算ではなく、日付・現場・人・人工の4項目を現場でその日のうちに拾うことと、年間の人件費から1人工の単価を決めることです。社員は労務費、協力会社は外注費に分け、半日や残業の換算ルールを先に決め、週1回、実行予算の人工と並べて見る。この流れを日報から自動で回せるサクミルと、照合・給与・会計登録・安全書類・CCUSの事務を引き受けるマッセの組み合わせも検討してみてください。
