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建設業の請求書作成ソフトとは、元請や施主に出す請求書を、登録しておいた取引先・品目・単価から作り、インボイスの記載事項や消費税の計算を自動で揃えてくれるツールです。一人親方や小規模な工務店なら、月の請求が10件前後のうちはExcelでも回りますが、件数が増えたり確定申告の入力に時間がかかったりしてきたら、ソフトに替える時期です。この記事では、建設業の請求書で押さえる要点、Excelから替える判断の目安、Misoca・freee・弥生の違い、ソフトで請求書を作る手順を、建設業の事務代行を行っているmasse(マッセ)の目線で順番に整理します。
建設業の請求書で押さえる4つの要点

建設業の請求書は、インボイス制度の記載事項に加えて、締め日、出来高請求、元請指定の書式という業界ならではの決まりごとが絡みます。ソフトを選ぶ前に、この4つを自分の取引に当てはめておくと、必要な機能がはっきりします。
インボイス制度で必要な記載事項
インボイス登録をしている場合、適格請求書として認められるには国税庁が示す6つの項目が必要です。様式は自由で、手書きでも構いません。
| 記載事項 | 建設業での書き方の例 |
|---|---|
| 発行者の氏名・名称と登録番号 | 屋号と「T+13桁」の番号 |
| 取引年月日 | 締め日までの施工期間、または完了日 |
| 取引の内容 | 工事名・現場名・作業内容 |
| 税率ごとの合計額と適用税率 | 工事代金は通常10% |
| 税率ごとの消費税額 | 端数処理は1枚につき税率ごとに1回 |
| 交付を受ける側の名称 | 元請・施主の正式名称(省略不可) |
工事名や工期は税法上の必須項目ではありませんが、元請の経理は現場ごとに原価を管理しているため、書いていないと処理が止まります。記載事項の細かい扱いや免税事業者の書き方は、建設業の請求書の書き方|インボイスの記載事項と工事名・出来高の扱いで詳しくまとめています。
締め日と支払日を取引先ごとに把握する
建設業では「20日締め翌月末払い」「末締め翌々月10日払い」のように、元請ごとに締め日と支払日が違うのが普通です。締め日を過ぎて届いた請求書は翌月回しになり、入金がひと月遅れます。複数の元請と取引している一人親方ほど、締め日の一覧を作っておくことが大切です。
ソフトでは取引先ごとに支払期限を登録できるものが多く、日付を毎回計算し直す手間が減ります。
出来高請求は「契約額・累計・今回」で書く
工期が長い工事では、進み具合に応じて分けて請求する出来高請求がよく使われます。このとき請求書には、契約金額、前回までの請求累計、今回の請求額、残額を並べておくと、元請側と数字を突き合わせやすくなります。
元請が出来高を検収して出来高検収書を作り、それに基づいて支払う場合は、その検収書が請求書の代わりになるケースもあります。追加工事や出来高の請求が漏れる原因は建設業の請求漏れを防ぐ方法で整理しています。
元請指定の書式があるかを先に確認する
ゼネコンや大きめの工務店では、自社の請求書書式(Excelや専用システム)での提出を求められることがあります。この場合、自分のソフトで作った請求書はそのまま使えず、指定書式への転記が必要です。取引先の大半が指定書式なら、ソフトの効果は小さくなります。
Excelの請求書で起きやすいこと

Excelの請求書は無料で自由に作れる反面、件数が増えるほど転記と確認の手間が膨らみます。事務代行の現場でよく見るのは、次のような状態です。
- 前月のファイルをコピーして作るため、日付や宛名の書き換え忘れが起きる
- 行を追加したときに合計欄の計算式が範囲から外れ、金額がずれる
- 明細行ごとに消費税を計算して切り捨て、合計が正しい額と数円違う
- 確定申告の時期に、1年分の請求書を見ながら会計ソフトへ打ち直している
また、請求書をPDFでメール送信している場合、電子帳簿保存法により送った控えを電子データのまま保存する必要があります。Excelとメールの組み合わせでは、日付・金額・取引先で検索できる状態に整えるのに手間がかかります。一人親方の最低限の対応は電子帳簿保存法で一人親方がやるべきことを参考にしてください。
Excelから請求書作成ソフトに替える判断基準
替えるかどうかは、月の請求件数、元請指定書式の割合、確定申告までつなげたいかの3点で判断します。すべての人にソフトが必要なわけではありません。
月の請求件数が5件を超えるか
取引先が1〜2社で、毎月同じ内容を請求しているなら、Excelのテンプレートでも大きな問題はありません。月5件を超えてくると、宛名・品目・単価の入力と確認に時間を取られ始めます。
自分の書式で出せる取引先が多いか
施主との直接取引や、書式の指定がない工務店との取引が中心なら、ソフトの効果がそのまま出ます。反対に、ほとんどが元請指定書式なら、ソフトは控えの管理や売上の集計用と割り切るか、Excelのまま運用を整えるほうが合っています。
確定申告まで一緒に済ませたいか
請求書を作るだけなら請求書専用のソフトで足ります。請求書のデータをそのまま帳簿に反映させ、確定申告の入力を減らしたいなら、会計ソフトと一体か、会計ソフトと連携できるものを選びます。ここがMisoca・freee・弥生を選び分けるいちばんの分かれ目です。
| 状況 | 向いている方法 |
|---|---|
| 取引先1〜2社・毎月同じ内容 | Excelのテンプレートを整えて継続 |
| 月5件以上・自分の書式で出せる | 請求書作成ソフト |
| 請求から確定申告までつなげたい | 会計ソフト一体型、または連携型 |
| ほとんどが元請指定書式 | 指定書式+ソフトは集計・控え管理用 |
Misoca・freee・弥生の違い

3つとも請求書の作成とインボイス対応ができますが、Misocaは請求書が中心、freee会計は会計ソフトの中に請求書機能がある形、弥生は確定申告ソフトとMisocaを組み合わせる形です。料金は2026年10月時点で各公式サイトに掲載されている内容です。最新情報は公式サイトでご確認ください。
| 項目 | Misoca | freee会計 | 弥生(やよいの申告オンライン) |
|---|---|---|---|
| 中心になる役割 | 見積書・納品書・請求書の作成 | 会計・確定申告(請求書機能つき) | 確定申告(請求書はMisocaと連携) |
| 無料で使える範囲 | 無料プランで請求書月10通まで | 無料お試しあり | 白色申告オンラインはずっと無料 |
| 有料プランの例 | プラン15:年8,800円(税別) | 個人スターター:月980円(年払い) | 青色申告オンライン セルフプラン:初年度無料・翌年から年11,800円(税抜) |
| 帳簿への反映 | 弥生の会計・申告ソフトと連携 | 請求書の発行で取引が登録される | Misocaの請求データを取り込んで仕訳 |
| 向いている人 | まず請求書だけ整えたい人 | 請求から申告まで1つで済ませたい人 | 弥生で申告している・申告費用を抑えたい人 |
Misoca|請求書だけを手早く整えたい人向け
Misoca(ミソカ)は弥生が提供する見積書・納品書・請求書の作成サービスです。無料プランでは請求書を月10通まで作成でき、見積書は無制限です。年契約のプラン15(年8,800円・税別)では月15通まで作れ、1通210円の郵送代行も使えます。郵送代行や同時利用は無料プランでは使えません。
見積書から請求書へ変換できるのは建設業向きです。会計機能はないため、帳簿は別の会計ソフトで付けます。
freee会計|請求から確定申告までまとめたい人向け
freee会計は会計ソフトですが、「請求・入金」のメニューから請求書を作成できます。請求書を発行すると未決済の収入取引が登録されるため、売掛金の記帳を別に行う必要がありません。個人事業主向けのスターターは月980円、スタンダードは月1,980円(いずれも年払いの場合)と案内されています。
銀行口座と連携すれば入金との突き合わせもソフト内で済みます。反面、請求書だけ作りたい人には機能が多すぎるかもしれません。
弥生|申告ソフトとMisocaを組み合わせる人向け
弥生の確定申告ソフトは、白色申告オンラインがずっと無料、青色申告オンラインのセルフプランは初年度無料で翌年から年11,800円(税抜)です。請求書はMisocaで作り、請求データを申告ソフトに取り込んで仕訳する使い方になります。すでに弥生で申告している人や、白色申告で費用をかけたくない一人親方は、この組み合わせが自然です。
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向いている人・向かない人
請求書作成ソフトは、自分の書式で出せる取引が多く、請求件数が増えてきた人ほど効果が出ます。反対に、次のような場合は無理に入れなくても構いません。
- 取引先が1社だけで、元請の指定書式に毎月数字を入れるだけの人
- 請求は元請の出来高検収書の確認で済み、自分から請求書を出さない人
- パソコンもスマホもほとんど触らず、請求書を書く作業自体を人に任せたい人
事務代行の現場でも、ソフト選びより先に「誰が毎月入力するか」を決めたほうが運用は長続きします。
請求書作成ソフトで請求書を作る手順

どのソフトでも流れはほぼ同じで、最初に自社情報・取引先・品目を登録してしまえば、2回目以降は数分で作れます。ここではMisocaやfreee会計に共通する流れで説明します。
ステップ1|自社情報と登録番号を設定する
屋号・住所・電話番号・振込先口座と、インボイスの登録番号(T+13桁)を設定します。登録番号は国税庁の公表サイトの表示と照らし合わせておきます。
ステップ2|取引先(元請・施主)を登録する
取引先の正式名称、部署・担当者名、住所、送付先メールアドレスを登録します。締め日と支払期限を設定できるソフトなら、ここで入れておきます。正式名称は「株式会社」の位置まで契約書と揃えます。
ステップ3|よく使う品目と単価を登録する
「常用(人工)」「材料費」「交通費」「産廃処分費」など、毎回使う品目と単価、単位(人工・式・m²など)を登録します。品目を揃えておくと、後から売上を品目別に集計しやすくなります。見積書を同じソフトで作っている場合は、見積の明細と同じ名前にしておくと転記が要りません。考え方は見積と請求を連動させるでも紹介しています。
ステップ4|締め日に請求書を作成する
取引先を選び、件名に工事名と現場名を入れ、明細を追加します。出来高請求の場合は、件名か備考に「第◯回出来高」と書き、契約金額・前回までの累計・今回請求額を明細か備考で示します。消費税はソフトが1枚ごとにまとめて計算するので、手で直さないようにします。
ステップ5|PDFで送付し、控えを保存する
ソフトからメール送信するか、PDFをダウンロードして送ります。送った請求書は履歴ごとソフト内に残ります。
ステップ6|入金を確認して消し込む
支払日を過ぎたら、通帳や銀行明細と照らし合わせて入金済みにします。freee会計のように口座連携できるソフトなら、取り込まれた明細と請求を結び付けるだけです。未入金があればその月のうちに元請へ確認します。手順は建設業の入金管理と消込のやり方で詳しく解説しています。
ソフトに替えたときのよくある失敗と対処

ソフトに替えた直後のつまずきは、ほとんどが最初の設定と、Excel時代の習慣の持ち込みです。症状ごとに確認する場所をまとめます。
登録番号が請求書に表示されない
自社情報に登録番号を入れていても、テンプレートの設定で非表示になっていることがあります。設定を確認したうえで、テスト用に1枚作ってPDFで表示を確かめてから取引先に送ります。
Excelの請求額と消費税が数円合わない
Excelで明細行ごとに消費税を計算していた場合、ソフトに替えると税額が数円変わることがあります。インボイス制度では1枚につき税率ごとに1回の端数処理が正しいため、ソフト側の数字に合わせます。
無料枠を超えて作れなくなった
Misocaの無料プランは請求書が月10通までです。現場ごとに請求書を分けていると、取引先が少なくても上限に届くことがあります。同じ元請への請求を1枚にまとめられないか相談するか、有料プランへの切り替えを検討します。
よくある質問
Q. 一人親方でも請求書作成ソフトは必要ですか?
A. 必須ではありません。取引先が1〜2社で毎月同じ内容ならExcelでも足ります。月5件を超えてきた、確定申告の入力に時間がかかる、という場合に替えると手間が減ります。
Q. 無料のソフトだけで請求書は作れますか?
A. 作れます。Misocaの無料プランなら請求書を月10通まで作成できます。郵送代行や複数人での同時利用が必要なら有料プランになります。条件は変わることがあるので、最新情報は公式サイトでご確認ください。
Q. 元請指定の請求書書式があるときはどうしますか?
A. 指定書式で提出します。ソフトで作った請求書は社内の控えと売上集計に使い、同じ数字を指定書式に転記する運用が現実的です。指定書式が一部の取引先だけなら、ソフトに替える効果は十分にあります。
Q. インボイス登録をしていなくてもソフトは使えますか?
A. 使えます。登録番号の欄を空けたまま請求書を作れます。ただし、それらしい番号を入れるなど適格請求書と誤認させる表示は禁止されているので、番号欄は空欄のままにしてください。
Q. スマホだけで請求書を作れますか?
A. Misoca・freee・弥生はいずれもスマホから使えるサービスを用意しています。初期設定だけパソコンで済ませ、毎月の作成はスマホで行う使い分けが楽です。
まとめ|件数と申告までのつながりで選ぶ
建設業の請求書は、インボイスの記載事項、締め日、出来高請求、元請指定書式の4点を押さえれば、ソフトでもExcelでも正しく作れます。Excelから替えるかどうかは、月の請求件数と自分の書式で出せる取引先の割合で判断し、どのソフトにするかは確定申告までつなげたいかで決めるのが分かりやすい選び方です。
請求書だけを整えるならMisoca、請求から申告までまとめるならfreee会計、弥生で申告しているなら申告ソフトとMisocaの組み合わせが候補です。どれも無料で試せるので、1か月分作って合うか確かめてみてください。
各サービスの詳細は公式サイトで確認できます。Misoca(ミソカ)の公式サイト/クラウド会計ソフト freee会計の公式サイト/弥生シリーズ(やよいの白色申告オンライン)の公式サイト
請求書の作成や入力そのものに手が回らないときは、事務代行という選択肢もあります。masse(マッセ)では、建設業の請求書作成や安全書類を、現場からLINEで送っていただくだけで代行しています。無理な勧誘はしませんので、masse(マッセ)のサービス案内から相談だけでもお気軽にどうぞ。

