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一人親方を従業員として雇うときは、契約・保険・現場の登録の3方向で手続きが発生します。長年一緒に動いてきた相手でも、請負から雇用に変わると立場が変わり、保険も税金も扱いが変わります。本人の手取りも変わるため、説明を飛ばすと入社後に不満が残ります。この記事では、切り替えの流れ、本人への説明のしかた、よくある誤解を整理します。
※制度の詳細や個別の判断は、年金事務所・労働基準監督署・社会保険労務士・税理士にご確認ください。

請負と雇用は、何が違うのか
一人親方は、事業主として仕事を請ける立場です。従業員は、会社の指揮命令を受けて働く立場です。この違いが、保険・税金・責任の所在のすべてに影響します。
| 項目 | 一人親方(請負) | 従業員(雇用) |
|---|---|---|
| 契約 | 請負契約・注文書 | 労働契約(労働条件通知書) |
| 報酬 | 外注費(請求書) | 給与(源泉徴収・年末調整) |
| 健康保険・年金 | 国民健康保険・国民年金 | 健康保険・厚生年金(会社が半分負担) |
| 雇用保険 | 対象外 | 加入 |
| 労災 | 一人親方労災に特別加入 | 会社の労災が適用 |
| 指揮命令 | 受けない(仕事の完成に責任) | 受ける(時間と場所の拘束あり) |
注意したいのは、契約書の形だけを請負にしていても、実態として指揮命令を受け、時間を拘束され、道具も会社が用意しているなら、雇用とみなされる可能性があることです。形式と実態が合っているかを確認してください。
切り替えの手順
①本人と条件をすり合わせる
いちばん大事な工程です。日給または月給の額、休日、保険料の負担、手取りがどう変わるかを数字で示して話してください。ここを曖昧にしたまま進めると、初回の給与明細を見た時点で不信感につながります。
②労働条件通知書を作成・交付する
契約期間、就業場所と業務(それぞれの変更の範囲)、労働時間、賃金、退職に関する事項を書面で明示します。建設業は現場が変わるため、就業場所は範囲で書きます。詳しくは労働条件通知書の書き方をご覧ください。
③社会保険・雇用保険の資格取得手続き
健康保険・厚生年金は年金事務所へ、雇用保険はハローワークへ届け出ます。いずれも入社後の期限が定められているので、入社日が決まった時点で準備してください。扶養家族がいる場合は、その手続きも必要です。
④一人親方労災の脱退
雇用されると会社の労災保険が適用されるため、一人親方労災(特別加入)は脱退します。加入している団体に連絡して手続きしてください。重複して加入し続けないよう、入社日に合わせて調整します。
⑤現場側の登録を更新する
ここが建設業特有の部分です。これまで協力会社として名簿に載っていた方が、自社の作業員になります。
- 作業員名簿を更新する(所属会社と雇用関係の記載が変わります)
- グリーンサイトやBuildeeの登録を変更する(施工体制と作業員の所属)
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)の所属事業者を変更する
- 必要に応じて、新規入場者教育をやり直す
この更新を忘れると、現場で「名簿と実態が違う」と指摘されます。入社日が決まった時点で、関係する現場の分をまとめて洗い出してください。

本人への説明で外せない3点
手取りがどう変わるか
請負のときは、報酬から自分で国民健康保険料・国民年金保険料・税金を払っていました。雇用になると、社会保険料が給与から引かれ、会社が半分を負担します。額面と手取りの関係が変わるため、「月いくら受け取っていたか」と「これから月いくら手元に残るか」を並べて説明してください。
将来の年金が増えること
厚生年金に加入すると、国民年金だけの場合より将来受け取る年金が増えます。目先の手取りだけを見ると不利に見えることがあるため、ここは必ず伝えてください。
働き方のルールが変わること
雇用になると、始業・終業の時刻、休日、指示系統が会社のルールに沿います。これまで自分で段取りを決めていた方には、ここが最も大きな変化です。逆に、有給休暇が取れるようになる、労災が会社の保険で守られるといった利点もあわせて説明してください。
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よくある誤解
- 「請求書をもらっているから外注」── 書類の形ではなく、実態で判断されます
- 「本人が希望したから一人親方のまま」── 実態が雇用なら、本人の希望だけでは通りません
- 「短期間だから手続きは不要」── 雇用である以上、期間にかかわらず手続きが必要です
- 「社会保険は入らない約束で合意した」── 法令上の加入義務は合意では外せません
判断に迷う場合は、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署に相談してください。後から指摘を受けると、遡って保険料を求められることがあります。
マッセは建設業専門の事務代行として、作業員名簿の更新、グリーンサイトやBuildeeの登録変更、CCUSの手続きをまとめてお引き受けしています。新しく人を採る場合の求人掲載はGATEN職の掲載相談ページ、入社後の事務はマッセのサービス案内をご覧ください。
よくある質問
Q. 一人親方のままで、常用で入ってもらうことはできますか?
常用で毎日入り、時間を拘束し、指揮命令をしているなら、実態は雇用に近くなります。請負として続けるなら、仕事の単位で請け、工程の進め方は本人に委ねるなど、実態を伴わせる必要があります。曖昧な状態が続くと、労災の適用や保険料で問題になります。
Q. 社会保険料の負担が増えるので、日給を下げてもいいですか?
金額は本人との合意で決めるものですが、一方的な引き下げは不信につながります。請負のときの報酬には本人が負担していた保険料や経費が含まれていたことを説明し、総額として納得できる形を一緒に作ってください。
Q. 年度の途中で切り替えると、税金はどうなりますか?
その年のうち、請負だった期間の収入は事業所得として本人が確定申告し、雇用後の給与は会社が源泉徴収します。年末調整の対象になるかどうかを含め、扱いは税理士に確認してください。
Q. CCUSの登録はやり直しですか?
技能者本人の登録はそのままで、所属事業者の情報を変更します。これまで自分で事業者登録していた方は、その扱いも含めて整理が必要です。手続きが煩雑になりやすい部分なので、現場の登録とあわせて一度に進めるのが効率的です。
まとめ:契約・保険・現場の登録を、同じ日付でそろえる
一人親方を従業員として雇うときは、条件のすり合わせ、労働条件通知書の交付、社会保険と雇用保険の資格取得、一人親方労災の脱退、現場側の登録更新という順で進めます。建設業では、作業員名簿・グリーンサイトやBuildee・CCUSの更新が必ずついてくるのが特徴です。本人には、手取りの変化、将来の年金、働き方のルールの3点を数字と事実で説明してください。入社後の事務をまとめて任せたい場合はマッセのサービス案内をご覧ください。

