作業員名簿は書けたのに「資格証の写しを付けてください」「保険の確認書類が足りません」と差し戻される。元請によって求める写しが違い、何をどこまで出せばいいのか分からない。事務代行の現場で名簿まわりの差し戻し理由を見ていると、名簿本体の記入ミスより添付書類の不足のほうが多いです。この記事では、一人親方・建築業・職人さんの事務代行を行っているマッセが、作業員名簿に添付する書類を種類ごとに整理し、法令で求められるものと元請の受入基準で求められるものの線引き、写しの取り方、出してはいけない情報をまとめます。名簿本体の欄ごとの書き方は作業員名簿の書き方と記入例、様式の入手は作業員名簿のテンプレートをご覧ください。
添付書類の全体像|「法令」と「元請の基準」を分けて考える
作業員名簿の記載事項は建設業法施行規則で決まっていますが、名簿に添付する書類を法令が列挙しているわけではありません。添付書類の大半は、元請が名簿の記載内容を確かめるために受入基準として求めているものです。この違いを知っておくと、「法律で決まっているから出さなければならない」のか「この元請の運用だから出す」のかが分かり、元請ごとの違いに振り回されなくなります。
| 区分 | 書類の例 | 求められる理由 |
|---|---|---|
| 施工体制台帳の法定添付書類(技術者分) | 主任技術者の資格証明と雇用関係の証明 | 建設業法施行規則 |
| 元請の受入基準で求める写し | 資格証・修了証、保険の確認書類、労災特別加入証明、建退共手帳、CCUSカード、在留カード | 名簿の記載内容の確認、法令遵守の確認 |
| 記載はするが写しは出さないもの | 健康診断の結果、保険の番号 | 要配慮個人情報・法令で取得が制限される番号 |
名簿本体の記載事項は6つ
法令が名簿に求めているのは、氏名・生年月日、職種、健康保険・年金・雇用保険の加入等の状況、中小企業退職金共済の被共済者かどうか、安全衛生教育の受講内容、資格の6つです。添付書類は、このうち保険・教育・資格の3つを裏付けるために求められる、と考えると整理しやすくなります。
元請の「提出書類一覧」が最終的な正解
この記事では一般的に求められる書類を挙げますが、どの写しをどの形式で出すかは元請ごとに違います。入場前に元請の提出書類一覧(安全書類チェックリスト)をもらい、この記事を照らし合わせる使い方をしてください。グリーンサイトやBuildee(ビルディー)を使う現場では、写しは一覧表ではなく作業員ごとの登録画面に画像として添付します。
資格・教育の写し|名簿の資格欄を裏付ける
添付書類の中でいちばん種類が多いのが資格関係です。その現場の作業に必要な資格の写しを出します。
免許・技能講習修了証・特別教育修了証
クレーン運転士などの免許、玉掛けや車両系建設機械などの技能講習修了証、フルハーネスや足場などの特別教育修了証が代表です。その現場でその人が行う作業に必要なものを出します。持っている資格を全部出す必要はありませんが、元請によっては全資格の写しを求めるので一覧で確認します。技能講習と特別教育の違いは玉掛け資格の取り方でも触れています。
職長・安全衛生責任者教育の修了証
名簿や再下請負通知書に安全衛生責任者として書いた人については、職長・安全衛生責任者教育の修了証の写しを求められます。おおむね5年ごとの再教育を受けている場合はその修了証も添えます。教育の内容と修了証の扱いは職長・安全衛生責任者教育とはで説明しています。
写しは「表裏」「有効期限が読める状態」で
修了証はカード型で裏面に講習の種類が書かれているものが多く、表だけの写しでは何の修了証か分かりません。表裏をセットで取ります。免許証は有効期限と条件が読めるように、折れや影で隠れていない状態でコピーまたは撮影します。スマホで撮る場合は、机に置いて真上から、四隅が入るように撮るのが基本です。
資格証の原本は本人が持ち、会社は写しを保管する
修了証や免許は本人のものです。会社が原本を預かりっぱなしにすると、本人が転職するときや現場で提示を求められたときに困ります。会社は写しを保管し、原本は本人が持つ形にします。写しは資格ごとに有効期限を一覧にしておくと、期限切れで名簿が差し戻されるのを防げます。
社会保険の確認書類|「名称を書く」と「写しを出す」は別
保険の欄は、名簿に書く内容と添付する写しの扱いが最も混乱するところです。順に整理します。
名簿に書くのは名称、番号は書かない(雇用保険は下4桁)
健康保険と年金は保険の名称だけを書き、番号は書きません。健康保険の記号・番号や保険者番号は、法律で雇用契約の相手方などが告知を求めることが制限されており、基礎年金番号も同様に名簿に書く項目ではありません。雇用保険だけは被保険者番号の下4桁を書きます。この非対称を知らずに全部の番号を埋めた名簿は、個人情報の扱いの観点から差し戻されます。
会社としての加入を示す書類
作業員個人の保険証の写しではなく、会社が健康保険・厚生年金・雇用保険に加入していることを示す書類(適用事業所であることが分かる通知書や、保険料の納入を示す書類など)を元請が求めることがあります。これは再下請負通知書や施工体制台帳の「健康保険等の加入状況」を裏付けるためのもので、作業員名簿とセットで出す運用の元請が多いです。
従来の健康保険証の写しは番号を隠す、移行後は資格確認書等
個人の加入確認として健康保険証の写しを求められた場合は、記号・番号・保険者番号を隠した写しを出すのが原則です。従来の健康保険証は新規発行が終わり、マイナ保険証や資格確認書への移行が進んでいるため、元請がどの書類で受け付けるかは確認が必要です。CCUSの登録でも同じ問題が起きています。詳しくはCCUS登録の健康保険証が廃止|代わりの確認書類をご覧ください。
一人親方・個人事業主は適用除外を書類で示す
一人親方は雇用保険と厚生年金が適用除外で、国民健康保険(または建設国保)と国民年金に加入しています。名簿には「適用除外」と書き、求められれば国保の加入を示す書類(番号を隠したもの)を出します。「未加入」と「適用除外」は意味が違うので、該当しない保険を未加入と書かないようにしてください。
労災特別加入・建退共・CCUSの確認書類
一人親方の労災特別加入証明書
一人親方は労災保険の対象外なので、特別加入していないと現場に入れないのが実務の通例です。加入している団体が発行する加入証明書の写しを添付します。加入証明書には有効期間があり、年度更新を忘れると期限切れの写しを出すことになるので、更新時期を把握しておきます。更新の時期は一人親方の労災保険の年度更新はいつ?で説明しています。
建退共の共済手帳(加入している場合)
名簿の中小企業退職金共済の欄で建退共に加入していると書いた人は、共済手帳の写しを求められることがあります。公共工事では建退共の掛金を発注者が工事費に見込んでいるため、元請が加入状況を確認する必要があるためです。手帳の表紙と加入者番号のページを写します。
CCUS(建設キャリアアップシステム)の技能者カード
CCUSに登録している作業員は、名簿に技能者IDを書き、元請によってはカードの写しを求めます。CCUSの登録情報は資格や保険の情報も含んでいるので、元請がCCUSを活用している現場では、カードの提示で他の写しの一部が省略できることもあります。元請の運用次第なので確認してください。CCUSとグリーンサイトの連携はグリーンサイトとCCUSの連携方法にまとめています。
グリーンサイト・Buildee・CCUSの登録や更新を、まるごと任せたい方へ。無料の資料を請求する →
健康診断・外国人・車両|扱いに注意がいる書類
健康診断は「受診日」を書き、結果の写しは出さない
名簿には健康診断の受診年月日を書く欄がありますが、診断結果そのものは要配慮個人情報にあたり、元請に提出する書類ではありません。元請が確認したいのは「1年以内に受けているか」なので、受診日が分かればよく、求められた場合も受診したことが分かる部分(受診日と医療機関名)だけを示します。結果の写しを求められたら、元請の安全担当にその必要性を確認してください。特殊健康診断(有機溶剤など)が必要な作業では、受診していること自体は別途確認されます。
外国人の作業員は在留カードと受け入れに関する書類
外国人技能実習生や特定技能の作業員がいる場合は、在留カードの写し(在留資格と在留期間が分かる面)と、元請が指定する入場届出書を添付します。全建統一様式には技能実習生や一号特定技能外国人の入場に関する様式が用意されており、受け入れ機関や監理団体の情報を書きます。在留期間の期限切れは名簿の差し戻しだけでなく法令違反になるので、資格と同じく期限一覧で管理します。
現場に車両で入る人は運転免許証と車検証
工事用車両や通勤車両で現場に乗り入れる場合は、工事・通勤用車両届と一緒に運転免許証、車検証、自賠責保険と任意保険の証明の写しを求められます。作業員名簿の添付書類ではありませんが、同じタイミングで求められることが多いので、まとめて用意しておきます。
出してはいけない情報・隠して出す情報
添付書類は作業員の個人情報の塊です。出しすぎは差し戻しではなく法令の問題になるので、線引きをはっきりさせておきます。
マイナンバーは名簿にも写しにも絶対に載せない
個人番号は法律で利用目的が限定されており、安全書類に載せることはできません。マイナンバーカードの写しを本人確認に使う場合も、番号のある裏面は出さず、表面だけにします。マイナ保険証として使っている人の加入確認も、カードの写しではなく資格確認書や資格情報のお知らせなど、元請が指定する書類で行います。
健康保険の記号・番号、基礎年金番号は隠す
前述のとおり、健康保険の記号・番号・保険者番号と基礎年金番号は名簿に書かず、写しを出すときも隠します。コピーの該当部分に紙を当てて再コピーするか、画像の場合は塗りつぶして保存します。元のファイルを残したまま隠した版を別名で保存しておくと、間違って元の画像を送る事故を防げます。
本人の同意を取ってから出す
作業員の個人情報を元請に提出することについて、本人に目的を説明し同意を得ておきます。全建統一様式の作業員名簿には、記載内容を元請などに提供することへの同意に関する注記があり、入社時や名簿作成時に説明しておけば現場ごとに取り直す必要はありません。何をどこに出すかを説明できる状態にしておくことが、会社としての管理の基本です。
事務代行の目線で|添付書類を1回で揃える管理のしかた
マッセで作業員名簿の作成をお手伝いしていて、添付書類で差し戻されない会社がやっていることは単純です。
作業員ごとに「書類フォルダ」を作り、入社時に全部集める
作業員1人につき1つのフォルダ(紙でもクラウドでも)を作り、入社時に資格証・修了証・保険の確認書類・労災特別加入証明・建退共手帳・CCUSカードの写しを一度に集めます。現場が決まってから集めると、本人が現場に出ていて手元にない、ということが起きます。
有効期限のある書類は一覧で管理する
免許の有効期限、労災特別加入の有効期間、在留期間、健康診断の受診日、職長教育の修了年は、作業員ごとの一覧にして期限の近い順に並べておきます。名簿を作るたびにこの一覧を見れば、期限切れの写しを出すことがなくなります。
番号を隠した「提出用」の写しを先に作っておく
保険関係の写しは、番号を隠した提出用の版を最初に作ってフォルダに入れておきます。現場ごとに隠す作業をすると、急いでいるときに隠し忘れが起きます。
グリーンサイト等に登録してあれば、写しの再提出が減る
グリーンサイトやBuildeeに作業員の資格・保険情報と写しを登録しておくと、同じシステムを使う元請の現場では登録情報がそのまま名簿に反映され、現場ごとに写しを出し直す手間がなくなります。登録のやり方はグリーンサイトの従業員登録の方法とビルディーの資格登録の方法で説明しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 資格証の写しは法律で添付が義務づけられていますか?
A. 作業員名簿への資格証の添付そのものを法令が義務づけているわけではありません。元請が受入基準として求めています。ただし施工体制台帳に載る主任技術者については、資格と雇用関係の証明が法令上の添付書類です。
Q. 健康保険証の写しを求められましたが、もう保険証を持っていません。
A. 資格確認書や資格情報のお知らせなど、加入が分かる別の書類で代えられます。どの書類で受け付けるかは元請ごとに違うので、安全担当に確認してください。マイナンバーカードの写しは番号が載るため使いません。
Q. 健康診断の結果表を出すように言われました。
A. 診断結果は要配慮個人情報なので、通常は受診日と医療機関が分かる部分だけで足ります。結果の内容まで求められた場合は、何の確認のために必要かを元請に確認し、本人の同意なく出さないようにしてください。
Q. 写しはスマホで撮った写真でもいいですか?
A. 文字と有効期限がはっきり読め、四隅が入っていれば、写真でも受け付ける元請が多いです。グリーンサイトやBuildeeへの登録も画像で行います。紙での提出を指定されている場合は印刷して出します。
Q. 一人親方ですが、何を添付すればいいですか?
A. 一般的には、作業に必要な資格証・修了証、労災特別加入証明書、国民健康保険の加入を示す書類(番号を隠す)、建退共に加入していれば手帳、CCUSに登録していればカードです。安全衛生責任者として自分を届け出るなら職長・安全衛生責任者教育の修了証も必要です。
Q. 写しの有効期限が現場の途中で切れます。どうすればいいですか?
A. 期限が切れる前に更新し、更新後の写しを元請に出し直します。労災特別加入や在留期間は切れると現場に入れなくなるので、期限一覧で早めに把握しておきます。
まとめ|写しは「資格・保険・特別加入」が軸、番号と診断結果は出さない
作業員名簿の添付書類は、名簿の資格・教育・保険の欄を裏付けるために元請が求めるもので、資格証・修了証、保険の確認書類、一人親方の労災特別加入証明、建退共手帳、CCUSカード、外国人の在留カードが主なものです。健康保険の記号・番号と基礎年金番号は隠し、マイナンバーと健康診断の結果は出しません。入社時に作業員ごとのフォルダに全部集め、期限のある書類は一覧で管理し、番号を隠した提出用の写しを先に作っておけば、現場ごとの差し戻しはほぼなくなります。
とはいえ、作業員の出入りが多い会社では、写しを集めて期限を追うだけでも事務の時間を取られます。マッセでは建設業の書類作成代行として、作業員名簿の作成と添付書類の整理、資格・保険の有効期限管理をLINEのやり取りでお手伝いしています。施工体制台帳・再下請負通知書もまとめて対応し、グリーンサイト・Buildeeへの登録は登録代行、Greenfile.workはグリーンファイル代行で承ります。月額プランは基本プラン(作業員3名まで込み)で月額30,000円〜(税別)です。くわしくはサービス・料金をご覧ください。なお、保険の確認書類の扱いや様式は制度変更で変わることがあります。最新の内容は元請の案内と各制度の公式情報でご確認ください。