作業員名簿のテンプレート|無料で使える様式と、法律で必須の項目はどれか

作業員名簿のテンプレートを探すと、有料の様式集と無料のExcelが混在していて迷います。結論から言うと、国土交通省が作成例のExcelを無料で公開していて、これをそのまま使えます。この記事では入手先と、法律で必須の項目と様式が上乗せしている項目の見分け方、そして番号を書いてよい欄と書いてはいけない欄を整理します。

Construction site with crane and building structures
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無料で入手できる様式は2つ

公式に無料で配布されているテンプレートは、次の2つです。どちらも建設業法の要件を満たしています。

配布元形式特徴
国土交通省Excel作業員名簿の作成例。年齢が自動計算される
建設キャリアアップシステムExcel社会保険加入状況を組み込んだ参考様式

国土交通省の作成例は、令和2年10月1日以降に契約する工事向けのものです。同省は、法令上必要な事項が網羅されていれば作成例以外の様式を使ってもよいと明記しています。つまり自社でExcelを組んでも構いません。

全建統一様式は有料です

ここは誤解が多い部分です。現場でよく使う全建統一様式の第5号は、全国建設業協会が頒布している有料の様式集に収録されています。様式集が660円、記載例と解説が1,430円で、いずれも税込です。

協会の公式サイトに無料ダウンロードの案内はありません。ネット上で無料配布されているExcelは、ゼネコンや業界サイトが全建様式に準拠して作った再配布版か、国土交通省の作成例です。出所が分からないファイルを使うより、公式のものを取ったほうが安全です。

現行は改訂6版です

全建統一様式は令和6年10月に改訂6版が出ています。押印欄が大幅に削られ、外国人建設就労者の欄が一号特定技能外国人の様式に置き換わりました。古い版を使い続けていると、押印欄が残っていて記入を求められることがあります。

法律で必須の項目は6つだけ

様式にはたくさんの欄がありますが、法令が求めているのはこの6つです。建設業法施行規則の第14条の2に書かれています。

  • 氏名、生年月日、年齢
  • 職種
  • 健康保険、年金、雇用保険の加入等の状況
  • 中小企業退職金共済の被共済者に該当するかどうか
  • 安全衛生に関する教育を受けているときは、その内容
  • 知識、技術、技能に関する資格

令和2年10月1日の施行で施工体制台帳の記載事項に加わりました。国土交通省はこれを受けて、実質的に作業員名簿の作成が義務化されたと説明しています。

資格欄は本人が希望しなければ書かなくてよい

あまり知られていない条文の但し書きです。6番目の資格については、その作業員が希望しない場合は記載しなくてよいと明記されています。

実務では元請の受入基準として資格の写しを求められることが多いので、法令上の扱いと現場の運用は分けて考えてください。法令が必ず書けと言っているわけではない、という理解で十分です。

住所と血液型は法定項目ではありません

全建統一様式には、現住所、電話番号、血液型、家族連絡先、雇入年月日、経験年数といった欄があります。これらは法令が求めているものではなく、様式が上乗せしている項目です。

実際、国土交通省が公開している作成例のExcelには、住所も血液型も家族連絡先も欄がありません。上乗せ項目は、災害が起きたときの緊急連絡や健康状態の把握といったリスク管理のために置かれています。

この線引きを知っていると、元請から様式を指定されたときに「なぜこの欄があるのか」が分かります。自社で様式を作る場合も、どこを削れてどこを削れないかの判断ができます。

laptop computer on glass-top table
Photo by Carlos Muza on Unsplash

番号を書く欄と書かない欄

ここが記入ミスのいちばん多いところです。保険の欄は、種類によって書き方がまったく違います。

保険書くもの書いてはいけないもの
健康保険保険の名称のみ保険者番号、被保険者等記号・番号
年金保険年金の名称のみ基礎年金番号
雇用保険被保険者番号の下4桁全桁

健康保険と年金は番号を一切書かず、雇用保険だけ下4桁を書きます。この非対称を知らずに全部の番号を埋めてしまう例が非常に多いです。

健康保険の番号は法律で聞けません

健康保険法の第194条の2が、雇用その他の契約の相手方に対して被保険者等記号・番号の告知を求めることを原則として禁じています。令和2年10月1日に施行された規定です。

つまり元請が下請に番号を書かせること自体が問題になります。国土交通省のガイドラインでも、様式の注記として保険者番号と被保険者等記号・番号は記載しないことと明記されています。

マイナンバーは絶対に書かない

作業員名簿はマイナンバーを収集してよい場面に当たりません。番号法は、法律が認めた場合を除いて他人のマイナンバーを収集したり保管したりすることを禁じています。

書いた側も集めた側も違法になります。もし様式にマイナンバーの欄があったら、その様式自体が間違っています。

本人の同意を取ってから出す

名簿に書く保険番号などは個人情報にあたります。国土交通省のガイドラインは、元請に提出するときは利用目的を示したうえで、あらかじめ作業員の同意を得る必要があると書いています。

作成例のExcelには、安全衛生管理や災害時の連絡のために元請へ提示することに本人が同意している、という文言があらかじめ入っています。自社様式を作る場合は、この一文を入れておいてください。

適用除外の書き方

保険に入っていない人の欄を空欄にすると、必ず差し戻されます。理由を書いて埋めます。

一人親方は雇用保険が適用除外

一人親方や事業主は、雇われている労働者ではないため雇用保険に入れません。雇用保険の左欄に「適用除外」と書きます。

健康保険は国民健康保険または建設国保の名称を、年金保険は国民年金と書きます。どちらも番号は不要です。

75歳以上は健康保険が適用除外

後期高齢者医療制度に移った人は、健康保険の欄に「適用除外」と書きます。年金を受け取っている人は、年金保険の欄に「受給者」と書きます。

日雇いの人は「日雇保険」

日雇労働被保険者の場合は、雇用保険の左欄に「日雇保険」と書きます。番号欄だけを埋めて左欄を空けると不備になります。

建設国保でも未加入ではありません

健康保険の適用除外承認を受けて建設国保に入り、厚生年金の適用も受けている人は、適切な社会保険に加入している者として扱われます。国民健康保険と書いてあるからといって未加入扱いにするのは誤りです。

Construction workers review plans at a job site
Photo by RONNAKORN TRIRAGANON on Unsplash

差し戻される典型例

国土交通省が元請に対して確認するよう求めている項目が、そのまま差し戻し理由になります。

  • 保険欄の一部または全部が空欄になっている
  • 法人に所属しているのに健康保険が国民健康保険、年金が国民年金になっている
  • 個人事業所で5人以上が載っているのに国民健康保険、国民年金になっている
  • 実態は雇用されている労働者なのに一人親方として適用除外にしている

これらが確認できない場合、元請は特段の理由がない限り現場入場を認めない取扱いを徹底すべきとされています。特段の理由は、伝統建築の修繕など特殊技能が必要な場合、加入手続き中で確実に加入が見込まれる場合、災害時の緊急対応の3つに限定されています。

建退共の欄を空けない

建設業退職金共済と中小企業退職金共済の欄は、加入の有無を「有」または「無」で書きます。該当しないからと空欄にすると不備になります。

作業主任者は兼務できない

作業主任者は作業を直接指揮する義務があるため、他の現場や同じ現場の別の作業箇所との兼務が法的に認められていません。複数選任する必要があります。名簿の記号欄で兼務が見えると指摘されます。

CCUSのIDは登録していれば書く

技能者IDや事業者IDの欄は、建設キャリアアップシステムに登録している場合に記入します。登録していなければ記入不要です。逆に登録済みなのに空欄だと、元請が保険加入状況を確認できず追加の書類を求められます。

年齢は作成日基準

作成例のExcelは、作成日を入れると生年月日から年齢を自動計算します。前に作ったファイルを使い回すと、誕生日をまたいで年齢が古いままになります。日付を入れ直してから提出してください。

18歳未満がいる場合

年少者を現場に入れる場合は、名簿とは別に書類が要ります。

労働基準法の第57条で、満18歳未満の者については年齢を証明する書類を事業場に備え付けることが義務づけられています。実務では住民票記載事項証明書で足りるとされています。

名簿の記号欄には18歳未満の作業員であることを示す記号を入れます。あわせて、時間外労働の制限、深夜業の禁止、危険有害業務への就労禁止がかかります。

15歳に達した日以後最初の3月31日が終わるまでは、建設工事に就労させること自体ができません。

紙のテンプレートと電子化の使い分け

Excelのテンプレートで足りるのか、グリーンサイトのような電子サービスを使うべきかは、現場数で決まります。

現場が少ないならExcelで足ります

入る現場が年に数か所なら、国土交通省の作成例をコピーして使い回せば済みます。建設業法施行規則は電磁的記録での作成を認めているので、印刷せずPDFで提出しても問題ありません。

現場が増えると転記が事故のもとになる

現場ごとにExcelをコピーしていると、資格の期限切れや保険の変更が古いファイルに残ります。人数が増えるほど、どのファイルが最新か分からなくなります。

電子サービスは会社と作業員のマスタから名簿を生成するので、この転記が消えます。押印も不要です。元請が指定してくる場合も多いので、選べないこともあります。

電子化そのものより加入証明の扱いが違う

国土交通省は、建設キャリアアップシステムの登録情報で保険加入状況を確認することを原則としていて、この場合は証明書類の添付が不要としています。

使わない場合は、資格確認書の写しやマイナポータルの印刷物などを提示することになります。手間の差はここに出ます。

よくある質問(FAQ)

自社で作ったExcelを使ってもいいですか?

構いません。国土交通省が、法令上必要な事項が網羅されていれば作成例以外の様式でもよいと明記しています。ただし元請が全建統一様式を指定してくることは多いので、事前に確認してください。

血液型は書かないと駄目ですか?

法令上の必須項目ではありません。全建統一様式が上乗せしている欄です。ただし様式を指定されている場合は、その様式の欄を埋めるのが実務です。

新しく人が入ったらどうしますか?

初回に出した名簿に追記していきます。新規入場者を追加せず初回のまま出し続けると、現場にいる人と名簿が一致しなくなります。受入教育を実施した日も忘れずに記入してください。

資格の写しは必ず添付しますか?

様式の注記では添付することが望ましいという表現です。ただし元請の受入基準では必須になっている現場が多く、実務上は付けるものと考えたほうが安全です。

まとめ|まず国交省の作成例を取る

作業員名簿のテンプレートを探しているなら、国土交通省が公開している作成例のExcelを取るのが確実です。無料で、法令の要件を満たしていて、年齢の自動計算も入っています。

そのうえで押さえるべきは、法律で必須の6項目とそれ以外の線引き、そして番号の書き方です。健康保険と年金は名称だけ、雇用保険は下4桁だけ、マイナンバーは書かない。この3つを守れば、記入ミスの大半は防げます。

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