※本記事にはプロモーション(紹介パートナー契約に基づくサービス紹介)が含まれます。
「材料屋に頼んだはずのボードが現場に届いていない」「同じ現場に同じ部材が2回納品されていた」「仕入先の請求書に書いてある金額が、何の発注分なのかわからない」。建設業の事務を代行していると、月末の請求書の束を前にしてこの3つの相談を必ず受けます。原因は担当者の不注意ではなく、材料と外注の発注が電話とLINEに散らばり、事務所に残るのが請求書だけという情報の流れにあります。この記事では、発注漏れと二重発注が起きる構造、発注書を案件に紐づける直し方、仕入先の請求書を確認する手順を、事務代行の現場の実例をもとに整理します。
建設業の発注は、電話とLINEに散らばっている
従業員が数人から20人程度の工事会社で、材料や外注の発注がどう行われているかを聞くと、ほとんど同じ答えが返ってきます。材料は現場から材料屋に電話、外注は社長が職人仲間にLINE、急ぎの追加はその場で口頭。発注書という紙やデータは、元請から求められたときにしか作りません。
材料は現場から電話、外注は社長がLINE
材料の発注は、現場で足りないことに気づいた職長が、その場で材料屋に電話をかけるのがいちばん速い方法です。「明日の朝、いつものやつを30枚」で通じる関係ができているほど、記録は残りません。外注はもっと口頭に寄ります。社長が付き合いのある職人に「来週から入れるか」とLINEで聞き、「いけます」で発注が成立し、金額や人数は現場が始まってから決まることも珍しくありません。
発注した記録が「誰かのスマホ」にしかない
問題は速さではなく、発注した事実が発注した人のスマホと記憶にしか残らないことです。職長が電話で頼んだ内容は職長しか知らず、社長がLINEで決めた外注の条件は社長のトーク履歴のなかにあります。会社として「いま、どの現場に、何を、いくらで頼んでいるか」を一覧できる場所がありません。
事務所に届くのは、1か月遅れの請求書だけ
事務所の人が発注の存在を知るのは、月末に仕入先や外注先から請求書が届いたときです。つまり事務所にとって、発注の情報は常に1か月遅れで、しかも相手側の言い分だけが書かれた形で届きます。本当に頼んだのか、頼んだ数量と合っているのか、どの現場の分なのかを確かめる材料が手元にない。これが、次に挙げる3つのトラブルの土台になります。
発注漏れ・二重発注・突合できない請求書。3つの構造
電話とLINEの発注で起きる問題は、症状としては別々に見えますが、原因は同じです。「発注の記録が会社に残っていない」という一点から、発注漏れ、二重発注、請求書との突合不能の3つが派生します。
発注漏れは「頼んだつもり」から起きる
発注漏れは、必要な材料や職人を誰も頼んでいなかった、という状態です。典型は、職長が「社長が頼んでいると思った」、社長が「職長が電話したと思った」というすれ違いです。頼んだかどうかを確認できる場所がないので、お互いの記憶に頼るしかなく、着工の朝に材料がない、職人が来ないという形で表に出ます。元請の工程に穴を開けると、翌日以降の段取りまで崩れ、信用に直結します。
二重発注は、社長と職長が別々に頼んだときに起きる
二重発注は発注漏れの裏返しで、同じ材料を社長と職長がそれぞれ頼んでしまうケースです。「念のため」が重なると起こります。材料なら余剰在庫になり、返品できないものは原価の持ち出しです。外注で起きると、2組の職人が同じ日に同じ現場に来て、片方に日当だけ払って帰ってもらうことになります。どちらも、発注前に「もう誰かが頼んでいないか」を見られる場所があれば防げたものです。
請求書と発注を突き合わせる「元の数字」が存在しない
3つ目が、事務の現場でいちばん時間を取られている問題です。仕入先から届いた請求書の明細を見ても、それがどの現場の分で、頼んだ数量と単価は合っているのかを照合する相手、つまり自社側の発注記録がありません。結果として、請求書の金額をそのまま支払い、工事別の原価には「材料費一式」で乗せるしかなくなります。案件ごとの利益は出ず、相手の請求ミスにも気づけません。元請への請求漏れと同じ構造が、仕入側でも起きているということです。元請側の話は建設業の請求漏れを防ぐ方法で整理していますので、あわせて読んでください。
| 症状 | 直接の原因 | 会社が被る損失 |
|---|---|---|
| 発注漏れ | 「相手が頼んだと思った」のすれ違い | 着工遅れ、元請の工程への影響、信用低下 |
| 二重発注 | 社長と職長が別々に同じものを頼む | 余剰在庫、返品不可の材料費、空振りの外注費 |
| 請求書と突合できない | 照合する自社側の発注データがない | 過払いに気づけない、工事別原価が出ない、確認作業の人件費 |
直し方の考え方。発注書を「案件」に紐づける
直し方は、電話やLINEで頼むのをやめることではありません。現場の速さは残したまま、「頼んだ」という事実を会社の1か所に、案件ごとに残す仕組みを作ることです。ポイントは3つあります。
発注は口頭でもよい。記録を1か所にする
材料屋への電話をなくそうとすると現場が止まります。変えるのは電話のあとです。頼んだ直後に、現場名・品名・数量・単価(わかれば)・納品希望日・頼んだ相手を、会社で決めた1か所に書く。Excelでも現場管理アプリでも構いませんが、「社長のLINE」のような個人の場所ではなく、誰が見ても同じものが見える場所であることが条件です。これだけで「もう誰かが頼んでいないか」を発注前に見られるようになり、二重発注は止まります。
案件に紐づける。「材料費一式」をなくす
記録するときの軸は、仕入先ではなく案件(工事)です。A現場の下に、A現場で頼んだ材料と外注が並ぶ形にします。こうしておくと、月末に請求書が届いたとき、「この明細はA現場の○月○日の発注分」と1本ずつ照合でき、工事別の原価が材料費・外注費の明細で積み上がります。実行予算を組んでいる会社なら、発注した時点で予算の消化が見えるようになります。実行予算の立て方は実行予算の作り方で解説しています。
発注・納品・請求を1本の線で追う
発注の記録は書いて終わりではなく、納品されたか、請求が来たか、支払ったかを同じ行で追えるようにします。未納品の行が残っていれば納期の確認、納品済みで請求が来ていなければ翌月の支払見込み、と行の状態を見るだけで次の動きが決まります。この3点がそろって初めて、仕入先の請求書を自社の記録で確認できます。
仕入先から届いた請求書を確認する5つの手順
発注の記録が案件ごとに残るようになったら、月末の請求書は次の順番で確認します。私たちが事務代行で請求書を処理するときも、基本はこの5つです。
1. 請求書の明細を案件に振り分ける
仕入先の請求書は、1枚に複数の現場の分がまとまっていることが多いです。まず明細を1行ずつ、納品先や現場名、納品日を手がかりに案件へ振り分けます。現場名のない請求書は、次回から納品書と請求書に現場名を入れてもらうよう仕入先に依頼してください。
2. 自社の発注記録と照合する
振り分けた明細を、その案件の発注記録と1行ずつ突き合わせます。発注記録にない明細があれば、誰かが記録せずに頼んだか、相手の請求ミスかのどちらかです。前者なら現場に確認して記録を追加し、後者なら仕入先に問い合わせます。「記録にないから払わない」ではなく、記録の抜けを埋める機会にするのが定着のコツです。
3. 納品されたかを確認する
請求されている品物が実際に現場に届いたかを、納品書や職長への確認で裏づけます。月末にまとめて確認しようとすると現場の記憶が薄れているので、納品のチェックは届いた日に現場で入れてもらうのが確実です。発注記録に納品済みのチェックがあれば、この手順はほぼ省けます。
4. 数量・単価・税区分を見る
発注と納品が一致したら、数量と単価を確認します。見積時の単価と請求単価が違うことは珍しくなく、値上げの連絡を受けていたかで対応が変わります。消費税は、仕入税額控除を受けるために、登録番号や税率ごとの区分が記載された適格請求書かを見ます。外注先が免税事業者の場合の扱いは、税理士と方針を決めておいてください。
5. 原価に登録し、支払予定を立てる
確認が済んだ明細を、案件の原価(材料費・外注費)として登録し、支払日を決めます。ここまでやって初めて、その月の工事別原価と翌月の支払総額が確定し、「来月は3現場の材料費がまとまって落ちる」という資金の山が事前に読めるようになります。
月末の確認で使うチェックリストにすると、次の7項目です。
- 請求書の明細はすべて案件に振り分けられたか
- 自社の発注記録にない明細はないか(あれば現場か仕入先に確認)
- 発注記録にあるのに請求が来ていない行はないか(翌月の支払見込みとして残す)
- 納品の確認が取れているか
- 単価は見積時・発注時と同じか
- 登録番号・税率区分が記載された請求書か
- 案件の原価に登録し、支払日を決めたか
サクミルの発注・仕入管理。案件単位で発注・納品・支払予定を一元管理
ここまでの仕組みはExcelでも作れますが、現場で頼んだ職長が、事務所のExcelにその場で書き込めないという壁があります。現場から入力でき、発注・納品・支払が同じ案件の下に並ぶ道具として、マッセが紹介パートナーとして取り扱っているのが「サクミル」です。以下はすべて、2026年10月時点の公式サイトの記載に基づいています。
発注・仕入管理の機能
サクミルは、株式会社プレックス(東京都中央区)が運営する建設業向けのクラウド型現場管理・工事管理システムです。発注・仕入管理の機能は、資材や外注先への発注状況、納品日、支払予定を案件単位で一元管理するもので、公式サイトでは発注漏れや納期の確認、支払スケジュールの整理が容易になると説明されています。各案件に紐づけて発注情報を登録すると、誰が・いつ・どこに・何を発注したかが記録され、発注後の納品ステータスを更新・共有して未納品を把握できます。過去の発注履歴を同様の案件への発注テンプレートとして使え、業者ごとの単価比較もできるとされています。仕入内容と支払予定を紐づけることで月ごとの資金の見通しが立ち、台帳や請求管理と連携しているためデータの二重入力が不要、というのが公式の説明です。
この記事で挙げた「記録を1か所に」「案件に紐づける」「発注・納品・請求を1本の線で追う」の3点が機能として入っている形です。発注・仕入管理のほかに、顧客管理、案件管理、見積管理、実行予算・原価管理(資材費・労務費・外注費・経費の項目別に原価と粗利を管理)、請求管理(出来高請求と入金管理)、作業日報、スケジュール、写真管理、ファイル管理、工事台帳、出面管理を備え、新機能としてAI見積も提供されています。
料金と無料トライアル
| 月額基本料 | 9,800円〜(税別)、20アカウントまで |
|---|---|
| 初期費用 | 0円 |
| 無料トライアル | 2ヶ月(自動課金なし)。マッセ経由の正式申込で1ヶ月延長、実質3ヶ月無料 |
| 機能制限 | 追加料金なしで全機能が利用可能、機能アップデート無料 |
| サポート | 専任サポート担当による導入支援・運用支援 |
導入社数は3,000社以上、月間の新規導入は200社以上と公表されています。公式のアンバサダー制度により、マッセ経由で正式利用を申し込むと無料期間が1ヶ月延びて実質3ヶ月無料になります。発注から請求書の照合までを回すには月末を2回またぐ必要があるので、3ヶ月あれば自社に合うかを実務で判断できます。
導入事例
公式サイトの導入事例には、各種設備工事のテクノ電業株式会社(事務工数30%削減)、給排水ポンプ工事の東立工業株式会社(FileMakerから移行し、情報の一元管理とコストダウンを両立)、リフォーム工事の株式会社ACT(Excelの限界から脱却し、新規雇用が可能に)などが掲載されています。機能の詳細や画面のイメージはサクミルの紹介ページにまとめています。
アプリで発注を記録し、請求書の確認と経理はマッセへ。併用という選択
紹介パートナーとしてではなく、事務代行の立場で書きます。発注管理のアプリを入れても、月末に届く請求書を案件ごとに照合し、原価に登録し、支払を組む人は必要です。職長に発注の記録まで頼むのは現実的ですが、請求書の照合と経理まで現場に頼むと続きません。社長が自分でやろうとして「材料費一式」に戻った会社を何社も見てきました。
役割分担の例
職長は、材料屋に電話したあと、その内容をサクミルの案件に発注として記録し、届いたら納品のチェックを入れる。社長は、外注の発注を自分で記録し、案件ごとの発注金額と実行予算の消化を自分の端末で確認する。月末の請求書の振り分けと照合、原価の登録、支払予定の整理、会計ソフトへの入力はマッセが引き受ける。こう分けると、現場の速さを落とさずに、工事別の原価が月末に確定する状態を維持できます。
マッセが代行している事務
マッセは建設業に特化した事務代行で、グリーンサイトや各元請の安全書類の作成・提出、CCUS(建設キャリアアップシステム)の事業者登録・技能者登録・現場登録、請求書の発行や経理の入力といった事務を、LINEでのやり取りで代行しています。アプリは現場の情報を集める道具、書類と経理の入力はマッセ、という組み合わせです。料金やプランの詳細はマッセのサービス案内をご覧ください。
よくある質問
Q. 発注書を毎回作らないといけませんか?
仕入先への発注書を毎回紙で出す必要はありません。この記事で言う「記録」は、現場名・品名・数量・相手・日付を会社の1か所に残すことです。ただし外注先との取引は請負契約にあたるので、建設業法が求める契約内容の書面(電子を含む)での取り交わしは別に必要です。発注の記録と契約書面は役割が違うものとして、両方を整えてください。
Q. 職長が記録を忘れたら意味がないのでは?
最初は忘れます。だからこそ、月末の請求書照合で「記録にない明細」が見つかったときに、責めずに記録を追加する運用にします。記録にない請求が月に何件あったかを数えて職長に共有すると、2〜3か月で件数は目に見えて減ります。記録を忘れない人を探すより、忘れたことが見つかる仕組みのほうが長続きします。
Q. 材料屋に現場名を入れてもらうのは頼みにくいです
「請求書の明細に納品先の現場名を入れてほしい」という依頼は、仕入先にとっても請求の問い合わせが減るので、断られることはほとんどありません。電話で発注するときに「○○現場の分で」と一言添える習慣をつけると、相手の納品書にも現場名が入りやすくなります。
Q. 二重発注で届いた材料はどう処理すればよいですか?
未開封で返品できるものは、早めに仕入先に相談してください。返品できないものは、他の現場で使える在庫として記録し、次の発注前に在庫を確認する運用にします。原価の登録では、使った現場に振り替えるのが正しい処理です。在庫のまま忘れられる材料を減らすこと自体が、発注管理の目的の一つです。
サクミルの無料トライアル(マッセ経由で実質3ヶ月無料)の申込相談は、サクミルの紹介ページから受け付けています。「電話とLINEの発注をどう記録に残すか」「月末の請求書の照合をどこまで任せられるか」といった導入前の疑問にも、事務代行の立場からお答えします。
まとめ:発注漏れと二重発注は、記録の場所を1つにすれば止まる
建設業の発注が電話とLINEに散らばっている限り、発注漏れ、二重発注、請求書と突合できないという3つの問題は、注意力では防げません。直し方は電話をやめることではなく、頼んだ事実を会社の1か所に案件ごとに記録し、納品と請求までを同じ行で追うことです。月末の請求書は、案件への振り分け、発注記録との照合、納品確認、単価と税区分の確認、原価登録と支払予定の5手順で確認します。現場から記録できる道具としてサクミルを、請求書の照合と経理、安全書類やCCUSの事務はマッセを、という組み合わせで、社内に事務担当を置かなくても発注から原価まで毎月そろう状態を作れます。