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試用期間は「合わなければ辞めてもらえる期間」ではありません。試用期間中であっても労働契約は成立しており、本採用を見送るには客観的に合理的な理由が必要です。建設業では、未経験者を受け入れる会社ほど試用期間を設けますが、運用を誤るとトラブルになります。この記事では、期間の決め方、求人票と通知書への書き方、見極めの観点、やってはいけないことを整理します。
※個別の事案の判断は、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署にご相談ください。
試用期間とは何か
試用期間は、入社後に適性や能力を見極めるために設ける期間です。この間も通常の労働契約が成立しており、労働基準法は当然に適用されます。社会保険や雇用保険の加入も、要件を満たせば入社日から必要です。「試用期間中は保険に入れない」という運用は誤りです。
本採用をしない判断は、通常の解雇より広く認められるとされていますが、自由にできるわけではありません。客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が必要です。
期間の決め方
3か月とする会社が多く、建設業でもこの長さが現実的です。理由は次のとおりです。
- 1か月では現場の種類が一巡せず、判断材料が足りない
- 3か月あれば、天候や工程の波を含めて働きぶりが見える
- 未経験者でも、3か月あれば持ち場を任せられるかどうかが分かる
長すぎる試用期間(1年など)は、労働者を不安定な立場に置くとして問題になることがあります。延長する可能性があるなら、延長の条件と上限を最初から定めておいてください。延長は本人への説明と同意が前提です。
書類への書き方
求人票
試用期間の有無、期間の長さ、その間の労働条件が本採用と異なる場合はその内容を書きます。「試用期間3か月(日給11,000円。本採用後は12,000円〜)」のように、金額まで明示してください。期間だけ書いて条件の違いを伏せると、入社後に揉めます。
労働条件通知書
求人票と同じ内容を明示します。試用期間中の賃金が異なる場合は、その金額と期間、本採用後の金額を書きます。最低賃金を下回らないことも必ず確認してください。
試用期間中の労働条件を下げる場合でも、社会保険の加入や有給休暇の付与日数の起算など、法令上の扱いは入社日が基準です。詳しくは労働条件通知書の書き方をご覧ください。
建設業での見極めの観点
技能の習得スピードだけで判断すると、見誤ります。3か月で見るべきは次の点です。
- 安全のルールを守れるか(指摘された内容を翌日以降も続けられるか)
- 時間を守れるか(集合時間、休憩の戻り)
- 報告・連絡ができるか(遅れる・できない・分からないを言えるか)
- 周囲と作業を合わせられるか(2人1組で動けるか)
- 道具の扱いと片付け
技能は時間が解決しますが、1〜3は本人の姿勢に関わる部分です。とくに安全のルールは、現場では命に関わるため、妥協できません。
見極めの材料を残すために、週1回でよいので職長が簡単な記録を残してください。「何を指導し、本人がどう反応したか」を3行書くだけで、本採用の判断にも、本人への説明にも使えます。
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やってはいけないこと
理由を伝えずに本採用を見送る
「合わなかったから」では理由になりません。どの点が、いつ、どのように問題だったかを具体的に説明できる状態にしてください。記録がないと説明できません。
指導せずに期間満了を待つ
できていない点を指摘せずに3か月を過ごし、最後に見送りを伝えるのは、本人にとって不意打ちです。改善の機会を与えたかどうかは、判断の相当性にも関わります。気になる点はその都度伝えてください。
社会保険の加入を先送りする
試用期間を理由に加入を遅らせることはできません。要件を満たす場合は入社日から加入が必要です。
試用期間を繰り返す
短期の有期契約を何度も更新して実質的な試用期間として使う運用は、実態によっては問題になります。期間の定めのない契約での試用期間なのか、有期契約なのかを明確にしてください。
試用期間を「育てる期間」に変える
見極めの期間と考えると会社側の視点だけになりますが、本人にとっては続けられるかを判断する期間でもあります。入社時に3か月の計画(1か月目は何を覚える、2か月目は何を任せる、3か月目に面談)を渡しておくと、双方の認識がそろいます。計画の作り方は未経験者を採用したいときの求人の書き方にまとめています。
マッセは建設業専門の事務代行として、入社時の書類づくりや現場の登録をお引き受けしています。採用そのもののご相談はGATEN職の掲載相談ページからどうぞ。
よくある質問
Q. 試用期間中に本人から辞めたいと言われたら?
本人からの退職は、試用期間中でも通常どおり認められます。引き止めるかどうかは別として、理由を聞いておいてください。現場の人間関係や、説明と実際のギャップが原因なら、次の採用で直せます。
Q. 試用期間中に無断欠勤が続いたら?
連絡を試みた記録(電話、メッセージ、書面)を残してください。即日で辞めてもらう判断をする場合でも、手続きと記録が必要です。判断の前に社会保険労務士に相談することをおすすめします。
Q. 試用期間中の有給休暇はどうなりますか?
年次有給休暇は、入社日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に付与されます。試用期間は継続勤務の期間に含まれます。
Q. 試用期間を設けないという選択もありますか?
あります。経験者を中途で迎える場合、試用期間を設けないほうが条件として魅力的に映ることもあります。設けるかどうかは、採りたい層と自社の受け入れ体制で決めてください。
まとめ:記録と説明があれば、試用期間は機能する
試用期間は3か月程度が現実的で、求人票と労働条件通知書の両方に、期間とその間の労働条件を明示する必要があります。試用期間中も労働契約は成立しており、社会保険の加入や有給の起算は入社日が基準です。見極めるのは技能よりも、安全のルール、時間、報告、周囲と合わせる力。週1回の短い記録を残しておけば、本採用の判断にも本人への説明にも使えます。入社時の書類や現場の登録はマッセのサービス案内をご覧ください。