※本記事にはプロモーション(紹介パートナー契約に基づくサービス紹介)が含まれます。
「あの現場、いま何回目の請求まで出しましたか」と聞かれて即答できる会社は少数です。工期が数か月に及ぶ工事では出来高に応じた分割請求が当たり前ですが、請求書を1枚ずつ作っているうちに、累計でいくら請求したか、残りはいくらかが分からなくなります。この記事では、出来高請求の基本と回数が追えなくなる構造を整理したうえで、「前回までの請求額・今回請求額・請求残高」を欄として持つ請求書の書き方、元請と事前に決めておくこと、インボイスの記載事項を、請求書を代行発行している事務代行の立場からまとめます。

出来高請求とは。工事の進み具合に応じた分割請求
出来高請求は、請負代金を完成時に一括で請求するのではなく、施工が進んだ分(出来高・出来形)に応じて分けて請求する方式です。工期が長い工事では完成まで材料費や外注費を立て替え続けることになるため、下請の資金繰りを守る意味で広く使われています。
前受け・中間・最終の3つの区分
請求の回はおおまかに3種類です。着工前後に請求する前受け(前払金・着手金)、工事中に締め日ごとに出来高に応じて請求する中間請求、完成・引渡し後に残額を請求する最終請求。前受けを取らず中間請求だけの契約も、前受けと最終の2回だけの契約もあります。どの区分を何回使うかは、元請との契約と支払条件で決まります。
一括請求と何が違うか
一括請求なら請求書は工事1件につき1枚で、金額は契約額と同じです。出来高請求では同じ工事に複数枚の請求書が出て、その合計が最終的に契約額(追加変更があれば変更後の額)と一致しなければなりません。1枚ごとの正しさに加えて「累計で合っているか」という管理が新たに発生する。回数管理が必要になる理由はここにあります。
出来高の根拠は何で示すか
今回の出来高が何%かは下請が勝手に決めるものではなく、元請の確認(査定・認定)を受けて確定します。根拠は、見積の内訳明細ごとの進捗率を記入した出来高内訳書、工程表と実績の対比、現場写真、数量の実測値などです。元請指定の出来高調書の様式があり、提出後に請求書を出す流れが決まっていることもあります。
「何回目にいくら請求したか」が分からなくなる構造
出来高請求の回数と金額を正確に言えなくなる原因は、担当者の注意力ではなく請求書の持ち方そのものにあります。典型的な構造を4つ挙げます。
請求書が1枚ずつ独立したファイルになっている
Excelや請求書ソフトのテンプレートは「今回の請求額」を書くことに最適化されています。前回までにいくら請求したか、残りがいくらかを書く欄がないため、累計は別のメモや頭の中で管理することになります。控えを並べて電卓で足せば分かる、という状態は、裏を返せば「足さないと分からない」ということです。
契約額が追加変更で動く
工事中に追加や変更が入ると、請求残高の分母である契約額が変わります。当初契約1,200万円で3回目まで請求し、4回目の直前に50万円の追加が確定すれば、残高は50万円増えます。追加分の注文書や変更契約が届くのが遅れると、どの契約額で残高を計算しているかが人によってずれ、最終請求で合わなくなります。
請求した金額と認定された金額が違う
出来高60%で請求したところ、元請の査定で55%に減らされて支払われることは珍しくありません。自社の控えには60%の請求書が残り、入金は55%分です。差額を次回に乗せるのか、請求書を差し替えるのかを決めていないと、「請求済み」の累計が自社と元請で食い違います。
複数現場が並行し、回数と月が対応しない
現場が1つなら「5月末の請求が2回目」と覚えていられますが、3現場が並行すると、A現場は3回目、B現場は1回目、C現場は前受けのみ、という状態になります。月末にまとめて請求書を作る作業では、どの現場が何回目かを毎回確認しなければならず、怠ると回数の取り違えや1回飛ばしての最終請求が起きます。回数が追えないことが請求漏れにつながる場面は建設業の請求漏れを防ぐ方法に書いていますので、本記事では請求書の書き方そのものを整えて回数を見失わない方法に絞ります。

出来高請求書の書き方。累計が1枚で分かる欄を作る
解決の考え方はひとつです。請求書1枚を見れば、その工事の累計が分かるようにする。そのために、通常の請求書の項目に、出来高請求専用の欄を加えます。
出来高請求書に必ず入れる欄
- 工事名・現場名、元請の工事番号や注文書番号
- 請求回数(第○回)と、今回の区分(前受け・中間・最終)
- 契約金額(追加変更後の金額と、当初・変更額の内訳)
- 今回までの累計出来高率と累計出来高額
- 前回までの請求額(累計)
- 今回請求額(累計出来高額−前回までの請求額)
- 請求残高(契約金額−今回までの請求額の累計)
- 消費税額と税込請求額、振込先、支払期日
金額は税抜で管理し、消費税は請求ごとに計算します。累計や残高を税込で持つと、端数処理で最終回に数円ずれることがあります。
記入例。契約1,200万円の工事を4回で請求する場合
当初契約1,200万円(税抜)、着工時に20%の前受け、以降は月末締めの出来高請求、4回目の直前に50万円の追加が確定した例です。この形なら、どの回の請求書を取り出しても累計と残高が読めます。
| 回 | 区分 | 契約金額 | 累計出来高 | 前回までの請求額 | 今回請求額 | 請求残高 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1回 | 前受け | 1,200万円 | 20%・240万円 | 0円 | 240万円 | 960万円 |
| 第2回 | 中間 | 1,200万円 | 45%・540万円 | 240万円 | 300万円 | 660万円 |
| 第3回 | 中間 | 1,200万円 | 75%・900万円 | 540万円 | 360万円 | 300万円 |
| 第4回 | 最終 | 1,250万円(追加50万円) | 100%・1,250万円 | 900万円 | 350万円 | 0円 |
第4回で契約金額の欄が1,250万円に変わり、残高が0円で締まっている点が要です。この欄がなければ「1,200万円−900万円=300万円」で最終請求を出し、追加の50万円が請求漏れになります。
出来高の根拠を請求書に添える
請求書本体には累計の数字だけを載せ、根拠は出来高内訳書として別紙で添付します。見積の内訳項目ごとに契約金額・今回までの出来高率・出来高額を並べ、合計を請求書の累計出来高額と一致させます。元請の指定様式がなければ見積書の明細に出来高率の列を足すのが早く、写真を求められる元請では該当工種の施工状況写真を添えます。
インボイスの記載事項は通常の請求書と同じ
出来高請求書も、適格請求書(インボイス)として発行するなら記載事項を満たす必要があります。国税庁が示す記載事項は、交付先の氏名または名称、自社の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した対価の額の合計額と適用税率、税率ごとに区分した消費税額等の6項目です。出来高請求だから項目が増えるわけではなく、回ごとの請求書それぞれがこの6項目を満たしていれば足ります。詳しくは建設業の請求書の書き方(インボイス対応)で解説しています。

元請との取り決め。請求書を書く前に決めておく4つのこと
書式を整えても、元請との前提がそろっていなければ請求が差し戻されたり認定額と食い違ったりします。着工前、遅くとも1回目の請求前に、次の4点を確認して書面かメールで残しておきます。
1. 出来高の認定方法
出来高率を誰がどう決めるかです。下請が出来高調書を提出し、元請の現場担当が認定する流れが一般的ですが、調書の提出期限、認定結果の通知方法、認定額が請求額と異なったときの処理(差額を次回に繰り越すか、請求書を差し替えるか)を決めておきます。ここが曖昧だと、請求済みの累計が自社と元請で食い違います。
2. 締め日と請求書の提出期限
月末締めが多いものの、20日締めや25日締めの元請もあります。請求書の必着日(翌月3日など)と、郵送・持参・システム投入のどれかも確認します。提出が1日遅れると支払いが1か月ずれる元請もあるので、元請ごとに一覧にしておきます。
3. 支払サイトと支払方法
締め日から何日後に入金されるか(翌月末、翌々月10日など)と、現金振込か手形・でんさいかを確認します。建設業法第24条の3では、元請が出来形部分に対する支払を受けたときは、その日から一月以内で、できる限り短い期間内に下請へ相応する下請代金を支払うことが定められています。元請の支払サイトが妥当かを見る目安になります。
4. 保留金・相殺の有無
各回の請求額から一定割合を完成まで留保する(保留金)、支給材料費や安全協力会費を請求額から差し引く(相殺)という運用の元請もあります。この場合は請求額と入金額が毎回一致しないので、請求残高とは別に保留金と相殺の累計を持たなければなりません。有無と計算方法を最初に確認し、請求書の備考欄か別紙に毎回書いておくと最終回の精算が楽になります。
確認したら、現場ごとに「元請名・締め日・提出期限・支払サイト・保留金の有無・認定方法」を1行にまとめた一覧を作り、請求書を作る前に必ず見る手順にします。テンプレートの欄と元請ごとの条件一覧、この2つで出来高請求の回数管理は手作業でもかなり安定します。

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サクミルの請求管理。1本の工事に複数回の請求を紐づける
ここまでの仕組みをテンプレートや一覧表ではなくアプリの構造として持てるサービスとして、マッセが紹介パートナーとして取り扱っているのが「サクミル」です。以下は2026年10月時点の公式サイトの記載に基づいています。
出来高請求と入金管理を一貫して行う
サクミルは、株式会社プレックス(東京都中央区)が運営する建設業向けのクラウド型現場管理・工事管理システムです。顧客・案件・見積・実行予算・原価・請求・作業日報・スケジュール・写真・ファイル・工事台帳・出面・発注仕入の管理機能を備え、請求管理については公式サイトで「出来高請求への対応はもちろん、それぞれの請求に対する入金管理まで一貫して行える」とされています。請求が案件(工事)に紐づくため、1本の工事に出した請求を回ごとに並べて確認でき、控えを並べて電卓で足す作業が構造的に不要になります。見積のデータも同じ案件に入るので、契約金額の変更を案件側で追えます。
料金と無料トライアル
| 月額基本料 | 9,800円〜(税別)、20アカウントまで |
|---|---|
| 初期費用 | 0円 |
| 無料トライアル | 2ヶ月(期間終了後の自動課金なし)。マッセ経由の正式申込で1ヶ月延長、実質3ヶ月 |
| サポート | 専任サポート担当による導入支援(初回セットアップはオンライン約30分・無料) |
導入社数は3,000社以上、月間の新規導入は200社以上と公表されています。導入事例には、店舗の設計・施工を手がける株式会社トリコデザインが案件管理・進捗確認・請求漏れの課題を解消した例があります。機能の詳細、画面のイメージ、無料トライアルの申込手順はサクミルの紹介ページにまとめています。
請求書を「誰が出すか」。マッセとの併用
事務代行の立場で正直に書くと、アプリを入れても、出来高調書を元請に出し、認定結果を受けて請求書を発行し、入金を確認して登録する人は必要です。社長が現場に出ている会社ではこの作業が月末に集中して後回しになり、提出期限を逃して支払いが1か月ずれることが起きます。
マッセが代行している事務
マッセは建設業に特化した事務代行で、請求書の発行や経理の入力、グリーンサイトや各元請の安全書類(グリーンファイル)の作成・提出、CCUS(建設キャリアアップシステム)の事業者・技能者・現場登録を、LINEでのやり取りで代行しています。元請ごとの締め日・提出期限・支払サイトを一覧で持ち、月末に各現場の請求書を期限内に出す運用も範囲内です。料金やプランの詳細はマッセのサービス案内をご覧ください。
併用するときの役割分担
現場の職長は、日報と写真、追加工事のメモをスマホからサクミルに入れる。社長は、元請との出来高の認定交渉と請求前の最終確認をする。請求書の発行、出来高内訳書の作成、入金の確認と登録、安全書類やCCUSの手続きはマッセが引き受ける。アプリは現場の情報を集めて案件に紐づける道具、入力と提出はマッセという分担にすると、事務担当を置かなくても、どの現場が何回目でいくら残っているかが常に見える状態を保てます。

よくある質問
Q. 出来高請求のタイミングは、下請側から決められますか?
基本は元請の締め日と支払条件に合わせますが、前受けの有無や割合、中間請求を月1回にするかどうかは契約前の交渉事項です。材料の先行発注が大きい工事では、発注書や工程表を示して着工前の前受けを相談してください。決まったことは注文書や請書、またはメールで文面に残します。
Q. 元請の認定額が請求額より少なかったとき、請求書はどうしますか?
元請との取り決めに従います。差し替えを求められるなら認定額で請求書を再発行し、自社の控えも差し替えます。差額を次回に繰り越す運用なら、請求一覧の「前回までの請求額」は認定額の累計で持ちます。どちらでも、累計の基準を「出した金額」ではなく「認定された金額」にそろえておくと最終回で食い違いません。
Q. 追加工事が確定する前に最終請求の時期が来たら?
確定していない追加分を最終請求に乗せるのは避けてください。当初契約分で最終請求を締めて追加分は確定後に別の回として出すか、元請と相談して最終請求を追加確定後まで待つかのどちらかです。いずれも請求一覧の契約金額欄に「追加確定待ち○○万円」と注記し、残高0円で工事を閉じないようにします。
Q. 請求書作成ソフトでも出来高請求の管理はできますか?
請求書1枚を作る機能としては十分ですが、多くは請求書単位の管理で、工事単位の累計や残高を自動で持つ構造ではありません。本記事の欄をテンプレートに追加して手で累計を入れるか、案件に請求を紐づける工事管理システムを使うかのどちらかです。現場が同時に3件以上動くようになったら後者を検討する時期です。
サクミルの無料トライアル(マッセ経由の正式申込で実質3ヶ月無料)の相談は、サクミルの紹介ページから受け付けています。「今のテンプレートからどう移すか」「発行まで任せられるか」といった導入前の疑問にも事務代行の立場からお答えします。
まとめ:出来高請求は「1枚で累計が分かる」書き方にする
出来高請求は前受け・中間・最終と分けて請求する方式で、1枚ごとの正しさに加えて「累計が契約額と合っているか」の管理が要ります。何回目にいくら請求したかが分からなくなるのは、請求書に累計と残高の欄がなく、契約額の変更や認定額との差が追えない構造のせいです。請求書に回数・契約金額・累計出来高・前回までの請求額・今回請求額・請求残高の欄を持ち、元請ごとの条件を一覧にしておけば、手作業でも回数は見失いません。その構造をアプリで持ちたい会社はサクミルを、発行と提出まで任せたい会社はマッセとの併用を検討してみてください。

