一人親方に退職金はない?老後の備えに使える3つの制度を徹底比較

結論から言うと、一人親方でも「建退共」「小規模企業共済」「iDeCo」の3つを使えば、会社員に負けない退職金と老後の備えをつくれます。一人親方は会社から退職金が出ない上、国民年金だけでは月7万円弱しか受け取れません。だからこそ、掛金が全額経費や所得控除になるこれらの制度を早めに始めることが、老後資金づくりの近道です。この記事では、それぞれの掛金・受取額・節税効果を具体的な数字で比較します。

Photo by chandler denise on Unsplash

一人親方に退職金と厚生年金はない。まず現実を知ろう

一人親方は雇われの身ではないため、退職金も厚生年金もなく、老後の公的収入は国民年金のみです。国民年金は40年間満額で納めても受給額は月7万円弱で、夫婦2人の生活費には到底足りません。

会社員なら厚生年金の上乗せと退職金がありますが、一人親方は「自分で備えた分だけ」が老後の資産になります。逆に言えば、個人事業主だからこそ使える節税メリットの大きい制度が用意されています。それが建退共・小規模企業共済・iDeCoの3つです。掛金はいずれも経費または所得控除の対象になるため、貯金するより手取りベースで有利に積み立てられます。

建設業で働くなら建退共。掛金は日額320円で国の補助もある

建設現場で働き続けるなら、まず検討したいのが建退共(建設業退職金共済)です。掛金は1日わずか320円で、働いた日数分だけ確実に退職金が積み上がります。

建退共は本来「雇われている労働者」のための制度ですが、一人親方も建退共が認定した「任意組合」を通じて加入できます。共済手帳1冊で250日分の掛金を納めることができ、最初の1冊目には国から50日分の掛金補助が付くのも大きなメリットです。掛金は個人事業主なら全額必要経費にでき、元請の現場で証紙を貼ってもらえるケースもあります。経営事項審査の加点対象でもあるため、将来法人化を考えている方にもプラスに働きます。

小規模企業共済とiDeCoで上乗せ。掛金は全額所得控除

建退共だけでは足りない分は、小規模企業共済とiDeCoで上乗せするのが王道です。この2つは併用でき、掛金は全額が所得控除になるため、積み立てながら毎年の所得税・住民税を減らせます。

小規模企業共済は月1,000円〜70,000円(500円単位)で掛金を自由に設定でき、年間最大84万円の所得控除になります。廃業時や65歳以上での受け取り時は退職所得扱いとなり、税負担も軽くなります。iDeCoは自営業者なら月68,000円(年81.6万円)まで拠出でき、こちらも全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です。3制度の違いを表で整理します。

制度掛金税制メリット特徴
建退共日額320円全額必要経費働いた日数分積立。初回50日分の国補助
小規模企業共済月1,000〜70,000円全額所得控除掛金の範囲内で貸付制度あり。増減額可
iDeCo月最大68,000円全額所得控除+運用益非課税原則60歳まで引き出せない。運用次第で増える

たとえば課税所得400万円の方が小規模企業共済に月3万円を掛けると、所得税・住民税合わせて年間およそ10万円前後の節税になります。同じ3万円を銀行に預けるのとでは、手元に残るお金が大きく変わります。

Photo by Recha Oktaviani on Unsplash

優先順位の付け方と始める手順

結論として、まずは無理のない金額で小規模企業共済から始め、現場日数が多い方は建退共を並行、余裕が出たらiDeCoを追加する流れがおすすめです。掛金は後から増減できるので、最初から満額にする必要はありません。

  • 小規模企業共済:中小機構のサイトから書類請求し、金融機関や商工会経由で申込み
  • 建退共:所属できる任意組合(建設組合など)を通じて加入手続き
  • iDeCo:証券会社や銀行で口座開設。運用商品は手数料の低い投資信託か元本確保型を選ぶ

注意点は、小規模企業共済は加入期間20年未満の任意解約で元本割れすること、iDeCoは60歳まで原則引き出せないことです。手元資金が少ないうちは掛金を小さく始め、仕事が安定してから増額しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 3つの制度は全部併用できますか?

併用できます。建退共は経費、小規模企業共済とiDeCoは所得控除と、それぞれ別枠で税メリットを受けられるため、資金に余裕があれば併用が最も有利です。

Q. 途中で掛金を払えなくなったらどうなりますか?

小規模企業共済は月1,000円まで減額でき、iDeCoも月5,000円まで下げるか拠出停止が可能です。無理に解約すると元本割れの恐れがあるため、まずは減額で乗り切りましょう。

Q. 法人化(一人会社)したら制度はどうなりますか?

小規模企業共済は小規模法人の役員として継続できます。建退共も事業主として従業員分の加入に切り替え可能です。iDeCoは厚生年金加入者となるため拠出上限が変わります。

Q. 何歳から始めるべきですか?

早いほど有利です。月3万円を30年積み立てれば掛金だけで1,080万円。節税効果と運用益を含めると、40代から始めるのと20代から始めるのでは数百万円の差になります。

まとめ:老後の備えは「制度をフル活用」が一人親方の正解

一人親方に退職金はありませんが、建退共(日額320円)・小規模企業共済(月最大7万円)・iDeCo(月最大6.8万円)を組み合わせれば、節税しながら退職金と老後資金を自分でつくれます。大事なのは、金額が小さくても今日から始めることです。掛金の管理や確定申告での控除処理など、経理や事務作業が負担に感じるなら、建設業特化の事務代行「マッセ」に任せて、本業と積立に集中する選択肢もあります。

最新情報をチェックしよう!