はじめに
近年、施工体制台帳や労務安全書類の管理を効率化・正確化するために、「グリーンサイト」を導入する元請会社が増加しています。
グリーンサイトを活用すれば、これらの書類をクラウド上で作成・提出・確認できるため、作業の手間を大幅に削減でき、ミスの防止にもつながります。国もこのシステムの普及を推進しているため、今後は一人親方にもグリーンサイトの利用を求められる機会が増えていくことが予想されます。
本記事では、一人親方が知っておくべきグリーンサイトの登録手順や必要書類、費用について詳しく解説します。
グリーンサイトとは何か?
工事現場に入場する下請業者—一人親方を含む—は、元請会社に対して労務や安全衛生に関する書類(いわゆる「グリーンファイル」)を提出する必要があります。
このグリーンファイルは、一般的に全国建設業協会の様式に基づいて作成されますが、現場ごとに独自のフォーマットを指定されることもあり、毎回の作成・提出には多くの労力と時間がかかるのが現実です。
こうした煩雑さを解消するために登場したのが、MCデータプラスが提供するオンラインサービス「グリーンサイト」です。
グリーンサイトに登録することで、グリーンファイルの作成・提出・管理をすべてクラウド上で行えるようになります。
2005年のサービス開始以来、下請業者だけでなく元請会社にとっても多くのメリットがあることから、幅広い企業が導入を進めています。
一人親方がグリーンサイトに登録する3つのメリット
一人親方がグリーンサイトを活用することで、次のような大きな利点があります。
1. 書類の作成・提出がスムーズに
グリーンサイトに一度情報を登録すれば、保存されたデータを活用してグリーンファイルを簡単に作成できます。
また、元請会社がグリーンサイトを導入していれば、書類の提出もオンラインで完了。現場まで書類を持参する必要がなくなり、印刷代や郵送費などのコスト削減にもつながります。
2. 記入や添付のミスを防げる
書類作成時には、登録済みの現場情報や自社情報が自動で反映されるため、手書きのような記入ミスのリスクが軽減されます。
さらに、建設業許可証や保険証などの証明書類も一度登録すれば自動添付されるため、添付漏れも防止できます。
3. 情報の更新漏れを防止
健康診断の受診日や資格の有効期限といった、更新が必要な情報を登録しておくと、期限の1か月前からアラートが表示されます。
期限切れになりそうな情報が一覧で確認できるため、うっかり忘れを防ぎ、常に最新の状態を保てます。
登録にかかる費用について
グリーンサイトを利用するには、以下の費用が必要です。
初期設定料金:10,000円(税別)※初回登録時のみ
基本利用料(ID利用料):年額4,800円(税別)
一人親方の場合は「1名プラン」が適用され、基本利用料として年に4,800円(税別)がかかります。初期設定料は最初の登録時のみ発生し、翌年度以降は基本利用料のみ継続して支払います。
支払い方法は、MCデータプラスが指定する銀行口座への現金振込となります。
一人親方がグリーンサイトに登録する方法と必要書類
ここでは、一人親方がグリーンサイトに登録する際の手順と、提出が必要な書類についてわかりやすくご紹介します。
1. インターネットから申し込み
グリーンサイトへの登録は、運営元である株式会社MCデータプラスの公式サイトから、インターネット経由で行います。
一人親方も「協力会社としての申し込み」から手続きを開始します。
2. 申込情報の入力
まず、申込手順や利用約款の説明を確認し、内容に同意したうえで以下の情報を入力します。
企業情報(※一人親方は「個人事業主」を選択)
・屋号または氏名
・住所
・代表者氏名など担当者情報・請求担当者情報
個人事業主の場合は、すべて自分の情報を入力すれば問題ありません。ユーザー上限数の設定
初期設定は10IDになっていますが、一人親方は1IDで十分です。ID数に応じて利用料金が変わるため、間違えないようにしましょう。
・また、グリーンサイト申込情報入力ページで建設業退職金共済・中退共・労災上乗せ保険・建設業許可・警備業許可などの加入・取得状況を入力していきます。
3. 必要書類の送付
申し込みが完了すると、入力したメールアドレス宛に「利用申込完了メール」が届きます。
そのメールに記載された案内に従って、以下の書類を準備し、MCデータプラス宛に郵送します。
【提出書類一覧】
利用申込書
メールに添付されたPDFを印刷し、必要事項を記入・押印します。
押印は、法人の場合は「会社印」、個人事業主の場合は「個人印」で、いずれも印鑑登録証明書と一致するものを使用してください。登記簿謄本(原本)
法人の場合に必要。法務局やオンラインで取得できます。抄本ではなく、履歴事項全部証明書(謄本)を用意してください。住民票(原本)
個人事業主の場合に必要。役所の窓口などで取得します。印鑑登録証明書(原本)
法人:会社の印鑑登録証明書
個人事業主:個人印の印鑑登録証明書
※登記簿謄本・住民票・印鑑登録証明書はいずれも「発行から6ヶ月以内」のものが必要です。
4. 利用料金の振込
必要書類を送付後、MCデータプラスから請求書が届きます。
記載内容を確認のうえ、指定の銀行口座へ利用料金を振り込みます。
5. IDとパスワードの受け取り・利用開始
入金が確認されると、申込時に登録したメールアドレス宛に「ID」と「初期パスワード」が送付されます。
通常は、振込の翌営業日から利用が可能です(月末の3営業日以降や年末年始は除く)。
まとめ
グリーンサイトは一人親方にとっても強い味方! 書類作成の手間を大幅に軽減できます
元請会社に提出する「グリーンファイル」は、書式が複数あり、現場ごとに異なる形式を求められることもあるため、作成や提出には多くの手間がかかります。
手書きで対応していると、誤記や添付漏れなどのミスが発生しやすく、元請会社に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
グリーンサイトに登録すれば、自身の情報をクラウド上に保存・活用でき、書類作成や提出がスムーズに。
記入ミスや提出漏れも減らせるため、事務作業の負担を大幅に軽くすることができます。
現在、多くの元請・協力会社がグリーンサイトを導入しており、今後は一人親方にも登録を求める企業が増えることが予想されます。
早めに登録を検討しておくことで、今後の現場対応もスムーズになります。