結論から言うと、足場の組立て・解体・変更の作業に従事する人は、全員「足場の組立て等特別教育」(学科6時間)の受講が法律で義務付けられています。資格がないまま作業させると事業者に罰則があり、元請の現場では入場自体を断られます。費用は1万円前後、1日で修了できるので、未受講の方は早めに済ませておきましょう。この記事では対象者・講習内容・費用・受講方法を具体的に解説します。
足場の特別教育は誰が対象?「地上での補助作業」以外は全員必要
足場の組立て・解体・変更の業務に少しでも関わるなら、原則として全員が特別教育の対象です。2015年7月1日の労働安全衛生規則改正で義務化され、経験年数に関係なく受講が必要になりました。
対象外となるのは、地上または堅固な床上での材料の運搬・整理などの補助作業のみです。つまり、足場上で部材を受け渡したり、クランプを締めたりする作業は高さに関係なくすべて対象になります。「自分は鳶職じゃないから関係ない」と思われがちですが、大工・塗装・電気工事などの職種でも、現場で足場を一部変更(板の掛け替えなど)すれば特別教育が必要です。一人親方の場合は自分自身が「事業者かつ作業者」なので、自分で受講して修了証を携帯することになります。
講習内容は学科6時間のみ。1日で修了できる
足場の特別教育は学科のみ6時間で、実技はありません。朝から受講すれば1日で修了証がもらえます。
カリキュラムは労働安全衛生規則で次のように定められています。
| 科目 | 時間 |
|---|---|
| 足場・作業の方法に関する知識 | 3時間 |
| 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 | 0.5時間 |
| 労働災害の防止に関する知識 | 1.5時間 |
| 関係法令 | 1時間 |
修了試験は基本的になく、全科目をきちんと受講すれば修了証が交付されます。学科のみのため、Web(オンライン)で受講できる講習機関も増えています。現場を1日空けにくい一人親方には、夜間や日曜開催、Web講座の活用がおすすめです。
費用は1万円前後。受講先は建災防・労働基準協会・Web講座
受講費用の相場はテキスト代込みで10,000〜12,000円程度です。建災防(建設業労働災害防止協会)の支部では10,505円、他の講習機関でも11,000円前後が目安です。
主な受講先は次のとおりです。
- 建災防(建設業労働災害防止協会)の各都道府県支部
- 各地の労働基準協会・技能講習協会
- 民間教習機関のWeb講座(動画受講+修了証郵送)
- 建設組合が組合員向けに開催する講習会
申込みには本人確認書類と顔写真が必要な場合が多いので、事前に募集要項を確認しましょう。なお、事業主が従業員を受講させる場合、建設業なら人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)の対象になることがあり、経費と賃金の一部が助成されます。
未受講の罰則と「作業主任者」との違いに注意
特別教育を受けさせずに足場作業に従事させた場合、事業者は労働安全衛生法違反となり、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。一人親方は自分が事業者なので、未受講のまま作業すれば自分が責任を問われます。
混同しやすいのが「足場の組立て等作業主任者技能講習」です。こちらは、つり足場・張出し足場または高さ5m以上の足場の組立て等作業で現場の指揮を執る「作業主任者」を選任するための上位資格で、3年以上の実務経験などの受講要件があります。特別教育は「作業する人全員」、技能講習は「指揮する人」と覚えておきましょう。また、修了証は現場で提示を求められるため常に携帯し、紛失した場合は受講した機関で再交付を受けてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 昔から足場を組んでいるベテランでも受講が必要ですか?
必要です。義務化当初にあった経験者向けの短縮措置(3時間)は経過措置期間で終了しており、現在は経験年数に関係なく6時間の受講が必要です。
Q. 足場の上で塗装や電気工事をするだけでも必要ですか?
組立て・解体・変更をしないなら不要です。ただし足場板の掛け替えや手すりの一時取り外しなど「変更」に当たる行為をすれば対象になるため、実務上は受講しておくのが安全です。
Q. 修了証に有効期限はありますか?
有効期限はなく、一度修了すれば生涯有効です。ただし法改正時には追加の教育が求められる場合があります。
Q. フルハーネスの特別教育も一緒に必要ですか?
別の特別教育です。高さ2m以上で作業床がない場所でフルハーネス型を使う作業には、別途「フルハーネス特別教育」(6時間)が必要になります。足場作業と両方受ける方が多いです。
まとめ:足場の特別教育は1日・約1万円。先に済ませて現場に備える
足場の組立て・解体・変更に関わるなら、特別教育(学科6時間・費用1万円前後)は全員必須です。未受講は罰則の対象になるだけでなく、現場入場を断られて仕事そのものを失いかねません。Web講座も使えるので、都合の良い方法で早めに修了しておきましょう。受講記録の管理や助成金の申請書類など、経理や事務作業が負担なら、建設業特化の事務代行「マッセ」に任せる選択肢もあります。